韓国びいき判定をはね返しての優勝…永田克彦

 シドニー五輪銀メダリストの永田克彦(新日本プロレス職)が実力を発揮し、決勝で崔徳勲(韓国)を破って見事に優勝。4月21日に警視庁から新日本プロレス「闘魂クラブ」に移って初めての大会で結果を出した。

 審判団の“団結”に苦しめられている大会だ。アジアには韓国に審判の実力者がおり、日本を除くどの国の審判も韓国選手を“優遇”する。この大会には、シドニー五輪で「ひどすぎる」として大会途中に任務をはずされたカザフスタン審判員が復帰。第1日のグレコ58kg級の日本(笹本)VS韓国戦に見え見えの韓国びいき判定をやり、日本陣営が猛抗議していた。

 ことしから、審判は抽選制と変更された。しかし、この大会は出場国が少なく、参加審判員の力量(審判のカテゴリー)や同じ国の選手の試合は裁かないことを考えると、抽選制に無理があると判断され、大会の審判部によって指名されることになった。永田の韓国選手との決勝戦にも、そのカザフスタン審判員が副審として姿があった。

 しかし、五輪で銀メダルを取り、よりよい環境を求めて燃えている永田には、何の問題もなかった。決定的な攻撃こそできなかったが、チャンスを確実にものにし、2−0の勝利。その瞬間、永田は両手を大きく広げ、観客席へ投げキッス。「こういうパフォーマンスがレスリングにあってもいいかなと思って」と話し、五輪銀メダリストの余裕と貫禄を見せた。

 決勝の相手の崔徳勲とは練習で何度も手合わせし、苦手とするタイプだった。それでも勝つことができたのは、「地位が人を作る」ならぬ「地位が強さを作る」からほかなるまい。五輪の銀メダルは、正直なところくじ運などに助けられた面があったが、それをステップに本物の強さを身につけつつある。

 9月にニューヨークで予定されている世界選手権が本当に楽しみになってきた。


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