女子の五輪種目採用への大詰めの攻防…IOC総会・理事会

 国際オリンピック委員会(IOC)の理事会が7月9日から、総会が13日からモスクワで予定され、女子レスリングの五輪種目の採用について、大詰めの交渉が行われるものと思われる。理事会・総会の日程は、9−11日が理事会、12日が理事会・各国際競技連盟・IOC選手委員会による合同会議、13−16日が総会。13日には2008年五輪開催地の選出が行われ、16日にはアントニオ・サマランチ会長の後任が選出される。

 女子レスリングの五輪種目採用を推進する人たちは、この総会が決定か否かのデッドラインと思っているふしがあるが、過去の例では総会で種目採用の決定がなされたことはなく、今回で決定か否かが決まる可能性は極めて少ない。


 シドニーへ向けての主な採用種目の経緯は次の通り。

 ★96年12月 国際重量挙げ連盟の総会で女子の採用が確認される。12月初めにはIOCが女子採用を認定していたという。男女の階級分けについては、重量挙げの委員会で検討し、97年5月の同連盟総会で決定と発表。

 ★97年7月 国際水泳連盟の理事会で、シンクロ・デュエットの復活と女子水球の採用で合意し、連盟の決定事項とし「IOCも基本的に合意している」と説明。地元組織委員会との調整に入ると発表。

 ★97年9月 IOC総会で2004年開催地がアテネに決定。新種目採用については、特別に発表なし。

 ★97年10月 シドニー五輪組織委員会が、女子水球の採用を発表。IOCは五輪の出場選手の総数が1万2000人を越えないことを条件に認めたため、水球の採用を決定したという。

 ★98年2月 長野五輪を前にしたIOCの理事会で、女子近代五種とヨット・スター級の採用を決定。近代五種はアトランタ五輪までは男子のみが行われており、同五輪では32選手が参加した。シドニーでは、これを男女各16選手とし、近代五種自体の参加選手を同数とした。


 五輪採用の最終決定の種目は女子近代五種とヨット・スター級で、五輪開幕の2年8か月前。シドニー五輪の採用へ向けては、IOCは選手数にこだわっていることが分かる。IOCはすでに女子レスリングの採用については合意しており、あとは参加選手数の問題。国際レスリング連盟(FILA)では、シドニー五輪での320選手に女子の分の上乗せ(推定60〜90選手)を要求し、この承認とともに女子の採用を決定する予定でいた。

 しかし、12日に予定されているIOC理事会と国際レスリング連盟(FILA)ほか各競技連盟の会議では、改めて選手数の増加がないことが通達されるものと思われる。それを受け、FILAは320選手の中に女子を入れるか、採用を見送るかの最終決断を迫られる。

 シドニー五輪で最後に決まった近代五種の場合、出場選手数をめぐる攻防の末、最終的に男子の出場枠32選手を16選手に減らして女子採用に踏み切った。もしレスリングの出場選手枠が320選手のままだった場合、FILAが、例えば男子266選手(16選手×16階級、プラス10選手)、女子54選手(9選手×6階級)として女子を採用するか、女子を採用せずに現状のまま(男子320選手=20選手×16階級)かが注目される。

 近代五種とヨットの例からすると、最後のデッドラインは2002年2月のソルトレイクシティー(米国)五輪の期間中に行われるIOC理事会と予想される。


《前ページへ戻る》