新たな試練がスタート…浜口京子


 世界一奪還を目指した75kg級の浜口京子(浜口ジム)がマットに沈んだ。浜口は準決勝で欧州チャンピオンのエディタ・ビトコワスカ(ポーランド)に1−4の判定負け。メダル死守を目指した3位決定戦では、ニナ・イングリッシュ(ドイツ)に首投げからのフォール負けを喫し、メダルに手が届かなかった。

 負けたのは、いずれも98年から採用されたコンタクト・ルールからの攻防。採用されたシドニー五輪でV4を目指したアレクサンダー・カレリン(ロシア)も、この体勢からの攻防でポイントを失い偉業達成ならなかった、いわくつきの攻防だ。

 浜口はともにこの体勢からの試合再開で投げられ、準決勝は辛うじてフォールを免れたものの、ポイントを1−3とリードされて判定負け。3位決定戦では、そのままフォールされてしまった。女子に関しては昨年から実施されたルールであり、常に第1ピリオドでポイントを取って圧勝してきた浜口にとって、練習と対策の不足だったのが現状のようだ。

 95年の全日本女子選手権以来、約6年半ぶりのフォール負けに浜口はがっくり。だがコーチでもある父のアニマル浜口さんとじっくりミーティングをしたあと、いてもたってもいられなかったのか。約1時間にわたって腕立て伏せやランニングなどで汗を流し、もう来年を目指した戦いをスタートさせた。

 2年連続世界一を手にできなかったことで、気力の落ち込みが懸念されるが、男子フリー・チームの富山英明監督(日大教)は、モスクワ五輪ボイコットで世界一を奪われ、その後の3年間世界一を見離されたあとの84年ロサンゼルス五輪で金メダルを取った経験をもとに、「目標はオリンピックなんだよ。初のオリンピック出場に向けて、気力が落ちるわけがない。『ここで負けて、よかったと思えるふうに持っていってほしい」とエールを送る。

 金浜良コーチは「敗因はコンタクト・ルールの攻防に弱点があったこと。これほどはっきりと敗因が分かるんだから、またやり直します」と話した。

 浜口の試練の道が始まった。








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