【特集】自分の弱点を思い知らされた…永田克彦


  12月6日からはじまったグレコローマンスタイル世界選手権は2日目を迎え、日本のエース、シドニー五輪銀の永田克彦(新日本プロレス)が登場した。しかし、予選リーグ1回戦は試合なしのあとの2回戦で、サンチェス(スペイン)にまさかの判定負け。決勝トーナメント進出を逃した。

 第1ピリオドにローリングで2点を先制したものの、第2ピリオドで自分がかけた技を逆手にとられて得点されたところから、突然流れが変わった。サンチェスの狙った投げを利用しようとしたところ、まともに投げられて4失点。さらに得点を畳みかけられ9−2となり、試合時間が終了した。

 試合直後、マットをおりた永田はうっすらと目に涙を浮かべ、頭を抱えた。「まったく知らない選手で、少しなめた気持ちがあったのがいけなかった。自分の弱点を思い知らされました。本番はアテネ五輪だと気持ちを切り替えて、次の試合に勝つことを考えます。どん底からはい上がる人間になります。自分の人生を振り返ったとき、ドラマティックだと思えるような人生にしてみせますよ。 会社(新日本プロレス)には本当によくしてもらってきたのですが、結果を出
せなくてとても悔しい。勝って凱旋するつもりだっただけに、とても残念です。アテネ五輪には必ず色の違うメダルを持って帰ります」

 翌日、永田は予選リーグの3回戦をアルテアガ(ベネズエラ)と戦った。アルテアガに勝利しても、すでにサンチェスが2勝をおさめ、決勝トーナメントへ進出を決めているため、永田の試合は消化試合だった。世界選手権4度目で、消化試合となるのはこれが初めて。「気分の良いものではありませんが、勝って見せますよ」と五輪銀メダリストの誇りを最後まで捨てずに臨み、その言葉通りに勝って意地を見せた。

 
永田克彦選手の話 「予選敗退という結果は、自分の弱点をはっきり知るためのものだったと受け止めています。五輪の翌年だったのは、かえってよかったのだろう、と考えるようにしています。世界選手権は、自分が勝って、日本チームの雰囲気を盛り上げてリードしてゆかなくてはならないと思っていました。その自分が予選敗退、というのは自分でも情けないです。

 国際試合にも出てきたことのない、しかも強豪選手がいないスペインの選手だから、ということでナメていたのが一番まずかったのでしょう。事前に対戦する選手のことを知った上で、自分の強さをあらかじめはかり、その上で試合や練習をしてきましたが、そんなやり方は限界だということですね。もっと、自分の強さを確実なものにしなければならない。

 五輪後から取り組んでいる肉体改造自体は、よい方向へ向かっていると思います。ただ、五輪で感じた得点力の弱さを克服するために、技術を取り入れたいと自分のレスリングを見失いそうになっていました。確かに、必殺技ともいえる、かならず得点できる技の必要性はあります。それを求めることはやめませんが、自分の強さも信じてゆきたいです。早く国際試合がしたいですね。そして、自信を取り戻したい」




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