全日本選手権コメント集(女 子)


【48kg級】坂本真喜子(愛知・中京女大付高)

決  勝 ○[4−1]吉村祥子(TBC)
 【評】がぶり返しを耐えた坂本が片足タックルで1点を先制。吉村も回りこんでバックを取り1−1。第2ピリオド中盤、坂本がタックルで吉村を持ち上げ3点を追加。貴重なポイントとなり、17歳の坂本が勝った。坂本は初優勝。(赤が坂本)


 「目標は優勝でしたが、自分でもびっくりしています。信じられません。自分自身、よくやったと思います。姉(日登美=55kg級)が『吉村先輩は力で勝負してくる。いつも通り動いて戦えば勝てる』とアドバイスしてくれました。2人で苦しんで必死でやってきたので、一緒にアテネ・オリンピックに出られるキップをつかんで、最後まで勝ちたいと思います。自分の良さは気持ち。タックルは吉村先輩につぶされてばかりいたので、得意とは言えません。中京の監督や先輩、みんなに支えられてここまで来ることができたので、本当に感謝しています」

【48kg級】吉村祥子(TBC)
 「悔しい。相手(坂本真喜子)の必死さは伝わってきましたけど…。組んだら、いつもはすぐそこからバックに回るなり何か展開するんですけど、止まってしまい、相手のペースにはまってしまった。6分間フルに動きまわるスタミナには自信がありますが、もっといろいろなスタイルを追求していかないとダメですね。負けて言うのもへんですが、思ったほど強さは感じなかった。次やれば、必ず勝ちます」

【48kg級】山本美憂(PUREBRED) =決勝トーナメント1回戦で坂本真喜子に判定負け
 「手応えを知りたくて出場しました。優勝も心のどこかで思っていましたが、ボクシングの辰吉選手にようにはいきませんでしたね。悔しい。でも、まだ始まったばかり。勉強になるスタートだと思います。もっとしっかり準備期間をとって、復帰一発目の大会で優勝できたらよかったですけど、早く自分もレベルを知っておきたかった。課題はいっぱいあります。試合運び、タックル、状況によって使わない方がいい技とかも考えるようにしないと。家族が支えてくれるので、死ぬ気でドンドン挑戦していきます。次は勝ちます。美憂は強くなって帰ってきます」


【51kg級】伊調千春(中京女大)

決  勝 ○[3-1=6:14]●服部担子(中京女大)
 【評】第1ピリオドは伊調が2度パッシブを取るが、ともにポイントにはつなげられない。第2ピリオドのクリンチは伊調が服部を押し倒して2点を獲得。服部が1点を返し、延長へ。クリンチでは服部が手を離してしまい、伊調が決勝の3点目を取った。伊調は初優勝。(写真:赤が伊調)


 「世界選手権の決勝で負けときと同じ涙は、もう絶対流したくないと思ってやってきました。昨日の準決勝で鼻を打って、鼻血がとまらなくて大変でしたが、勝ててよかったです。決勝のクリンチでは、2度とも相手が1本背負いにきましたが、相手は自分がそり投げが得意だということを知っているので、かならずその前に仕掛けてくると読んでいました。今後は48kg級に落として、オリンピックを狙っていきたいと思います。ひとつひとつ目の前の試合を大事に勝っていけるようがんばります」

【55kg級】吉田沙保里(中京女大)

決  勝 ○[フォール、0:25=6-0]●坂本日登美(中京女大)
 【評】吉田が開始早々にすばやいタックルで3点を獲得、そのまま押さえ込み、もう1度ニアフォールへいってそのままフォール勝ち。吉田は初優勝。(写真:赤が吉田)


 「全日本選手権は初優勝なのでうれしいです。日本で勝つことの難しさを感じています。決勝戦は2 ピリオドまで接戦になると思っていましたが、自分の動きができ、タックルがよかった。アジアと世界で勝って国際レスリング連盟の年間最優秀選手賞もいただいたので、絶対に負けられないというプレッシャーはありました。

 坂本日登美先輩は、ヒザの手術をされて、今度は反対のヒザをケガされて、それでも試合で出てきてすごいと思った。本当に努力の人。見習うべき点はまだまだたくさんあります。でも、試合では下の階級から上げてきたので、もともと上の階級にいた者が勝たないと、と思いました。冬休みに入るとの、ちょっとブレークしたいと思います。来年も大会や合宿が続いてきついでしょうが、それを乗り越えて、アテネ・オリンピックまで負けなしでいって金メダルを取りたいと思います」

【55kg級】坂本日登美(中京女大)
 「大会前に手術したヒザ(右)とは逆のヒザをケガしてしまい、計量前日まで出場するかどうか迷いましたが、やれるだけやろう、と決意しました。妹と2人揃って優勝したかったのに…。連勝記録が止まったことは気にしていません。もう一度初心に戻って、体を作り直し、次につなげられるような練習していきます。沙保里のスピードは本当にすごいと思いました」

中京女大・栄和人監督
 「マットの上で吉田沙保里も坂本日登美も、2人とも抱き上げたかった。一瞬のスキをついた沙保里のタックル。あのスピードは、男女合わせて今世界ナンバーワンでしょう。日登美がケガをしていたのが残念ですが、棄権するかどうかの瀬戸際で出場すると決め、苦労してよくやった。世界チャンピオンの沙保里と戦って今の自分のレベルが分かったでしょう。これからは2人でどんどんスパーリングさせて、どっちが出ても必ず世界で金メダルが取れるようしたいと思います。誰かオリンピックの階級をもう1 個増やしてくれないですかね。お願いします」

【59kg級】岩間怜那(リプレ)

決  勝 ○[4−1]清水真理子(群馬県協会)
 【評】岩間がタックルを2度決め2−0。清水がバックを取って1点を返す。第2ピリオドは、岩間がタックルで1点を加え、さらに清水の必死の攻撃を振り切って1点を追加。4−1で勝った。岩間は4年連続4度目の優勝。(写真:青が岩間)


 「清水真理子さんとは、以前、クィーンズカップで対戦していて、守りがすごく固いことがわかっていました。きちんとタックルにはいることが目標でした。前回は、まったく入れませんでした。今回は、入れたので、その点では満足しています。

 今年1年は、世界チャンピオンになるという最終目標をクリアできなかったのが心残りでした。社会人になって、会社の人たちなど人間関係が広がったことで、学生だった頃よりもたくさんの人に応援してもらえるようになり、うれしいですね。来年は階級を、オリンピックの実施階級の63kg級にアップします。もともと、去年までは62kg級で試合をしていたわけですし、そのころより体重は増えているので、階級変更はそれほど違和感なくできると思っています。練習でしている動きを試合ですること。それが、いま一番の課題です」

【59kg級】清水真理子(群馬県協会)
 「自分で選んだ階級なので、これでやっていくしかありません。準決勝はかなり緊張しましたが、昨晩はよく眠れて、決勝はスパーリングのつもりでいこうと思っていました。もっと自分から攻めなくてはいけないのに…。悔しい。こっちが先に点を取って、相手が焦って攻めてくるところを正攻法でかわそうと思っていたんですが。応援に来てくれたあの子たちがいたからここまでこれた。残念、申し訳ない気持ちでいっぱいです。これからはただ漠然とレスリングを続けるのではなく、敗因やそのほかいろいろなことをきちんと整理して続けていきたいと思います」

【63kg級】伊調馨(愛知・中京女大付高)

決  勝 ○[Tフォール、4:25=12-2]正田絢子(東洋大)
 【評】伊調がパッシブを取り、パーテールからまささき攻撃で2+1点。さらにタックルを決めて4点目。第2ピリオドも早々にバックを取りグラウンドでも攻めて7−0、9−0とし、最後にまたさき攻撃。正田が返したが、すでに10ポイント差がついていた。伊調は初優勝。(写真:赤が伊調)

 「世界選手権よりも全日本選手権のほうが緊張しますね。マットは一面だけだし、知っている人もいっぱいいるし、日本人だし。外国の方が、訳がわからなくて緊張しません。

 アジア大会の決勝で負けたことで、今があると思います。あのときの悔しさがあるから、本当に勝ちたいと生まれて初めて強く願いました。だから、世界選手権でも勝てたし、今日も勝てた。決勝の相手(正田絢子=東洋大)は元世界チャンピオンですが、今は私が世界チャンピオンですし、過去よりも今にこだわろうと思って試合をしました。監督からも『今チャンピオンのオマエが過去の選手に負けたらダメだ』と言われました。

 来年は大学生になります。昼寝ができて、練習には今よりもよい環境になると思います。小さい頃から姉と言っていた『オリンピックへ行こうね』という言葉を現実にします」


【67kg級】斉藤紀江(ジャパンビバレッジ)

三者リーグ決勝 ○[3-2=6:06]坂本襟(中京女大)
 【評】斉藤が先にパッシブを取るがポイントにはつながらない。逆に坂本が片足タックルからニアフォールへ追い込み2−0。第2ピリオドは0−0のあと、クリンチでスタートした延長で、斉藤が腰投げ気味に投げて3点を取り、逆転勝ち。2年連続2度目の優勝。(写真:赤が斉藤)

 「3人だけの出場の大会となりましたが、レベル的には今までと全く変わらないのでいつも気持ちで戦いました。決勝の延長のクリンチは、自分から先に仕掛けよう、組んだらすぐにいこうと思っていました。投げには自信があるので、落ちついていけました。今後の階級については、正直悩んでいます。でも、今も普段は71〜72kgぐらいあるので、上げることになると思います。大会後、監督やコーチと相談して決めたいと思います。浜ちゃん(浜口京子)に挑戦できたらいいですね」


【72kg級】浜口京子(浜口ジム)

五者リーグ決勝 ○[フォール、1:40=5-0]村島文子(中京女大)
 【評】浜口が積極的に攻め、タックル2度で2−0。グラウンドはともに決まらない。その後、村島の必死のタックルを受けややピンチの体勢を迎えたがすぐに体を入れ替えて上をキープ。そのまフォール勝ち。浜口は7年連続7度目の優勝。(写真:赤が浜口)


 「秋からアジア大会、ワールドカップ、世界選手権と続き、ハードスケジュールでしたが、去年の全日本よりも動きがよかったと思います。決勝の最初で、村島さんをマットから落としてしまったので、ケガしていないか心配です。(父、アニマル浜口さんが「そのくらいの迫力がなければダメだ。世界にぶち当たるんだ」と言葉を挟む)

 精神も肉体も、全部強くしたいです。尊敬するカレリン(グレコローマン130kg級で五輪V3)のように、女子の最重量級と言えば浜口、と言われるようになりたい。カレリンは、人並み外れた強さ、かけ離れた存在で私の目標です。来年は世界でも優勝し、2004年の秋には、アテネのマットの上で金メダルをとりたいです」

浜口ジム・アニマル浜口代表
 「豪快さが増して、今年 1年のいい締めくくりができたと思います。相手をマットにねじ伏せる圧力というのが物すごくなった。72kg級になって追い風です。今回、本当はちょっと落として過ぎて71.4kgしかなかったんです。来年以降も、向上心を持って取り組んでもらい。メンタル8倍、パワー8倍をつける。それくらいの高い志がなくては世界では勝ち続けられませんから。景気の悪い日本を回復させるために、熱く燃えますよ」



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