【特集】史上3人目の快挙へ向けて…小田裕之(三重・久居中)




 全国中学生選手権の男子47kg級は50選手が参加した中、昨年の42kg級のチャンピオン、小田裕之(三重・久居中2年)が優勝した。2年生で2年連続優勝。しかも6試合すべてに圧勝(フォール勝ち3試合、Tフォール勝ち2試合、不戦勝1)。戦った5試合の平均タイムは1分37秒で、スコアのトータルは50−1と内容も文句なし。これまで男子では松永共広(静岡・焼津)、松本真也(京都・網野)の2人だけが達成している3年連続優勝へ大きな期待をつなげた。

 優勝する自信を問われると、首をひねり、はっきりした言葉が出てこない。自信がなかったというより、取材なれしていないため、どんな答を口にしていいのか分からないといった様子。大会に臨むにあたり、最大のライバルを山口代悟(京都・宇治)と読んでいた。山口が準々決勝で負けたことで対戦がなくなり、これで気持ちが楽になって、決勝戦は「かなり余裕をもって戦うことができた」という。この言葉だけは、しっかりと答えた。

 幼稚園の時にレスリングに取り組み、小学2年生の時に全国大会優勝。その後、柔道をやったので全国大会出場はなかったが、6年生になってレスリングをやりたくなり、再びマットに立った。以後、全国少年選手権と全国中学生選手権をまたにかけて3年間無敗。得意技はタックルで、今大会はけっこううまくできたという。柔道で違った体力をつけたことが、よかったのかもしれない。

 ここまできたら、もちろん来年の3連覇を目指す。それへ向けての課題は「ウォーミングアップをしっかりこなすこと」。試合開始から力の限り体を動かすようなウォーミングアップがなかなかできないのだという。

 V3達成者の第1号の松永共広は昨年、大学3年生で全日本王者に輝いた。第2号の松本真也は同じく昨年、アジア・カデット選手権で2年連続優勝を成し遂げる選手に成長している。目標とする選手を聞かれても「特にいません」と答えるが、その目は"世界一"をしっかり見つめていることは間違いあるまい。



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