【特集】W杯チャンピオンの誇りを胸にNYで勉強…岩間怜那




 ニューヨークの世界選手権には、男女とも、日本代表選手のほかジュニア選手や二番手なども練習相手と視察で参加していた。その中で、女子チームに参加していた59kg級の岩間怜那(リプレ)は、やや複雑な心境だったに違いない。

 00年世界選手権62kg級で2位となり、01・02年にも世界大会に出場。メダルは逃したが、この2年間、ワールドカップでは連続優勝しており実力は世界でトップクラス。ことしは2月のヤリギン国際大会(ロシア)と6月のアジア選手権(インド)で優勝。ニューヨークの大舞台でのファイトに燃えていた。

 しかし7月の日本代表選考の最終参考試合で山本聖子(ジャパンビバレッジ)との試合が組まれ、敗れたことで代表を逃した。代表権争いで油断があったのか? 本人はそれをきっぱり否定するが、59kg級に競り合う相手がいなかっただけに、その気持ちが全くなかったとは言えまい。

 それでも、この世界大会にあたっては山本への“リベンジ魂”を封印。「チーム(中京女大)の選手が、そして日本の選手が金メダルを取れるように応援します」と話し、練習相手として力を尽くすつもりでチームに帯同。金メダル5個を裏から支えた。

 「ジャパン・ジャージ」を着てチームに同行し、世界の舞台をその目で見たことは気持ちのうえで大きかった。また、日本選手、外国選手を問わず、ライバルとなる選手の試合を見ることで、具体的に勉強することも多かった。「今回の遠征で得たことを、五輪代表争いに役立てます」と言う。

 五輪へ向けては、55kg級での挑戦を考えている。“2人の世界チャンピオン(吉田沙保里、山本聖子)が争う”と表される55kg級だが、51kg級で世界一になった坂本日登美が加わり、ワールドカップV2の岩間も参入すれば、“4人の世界一選手が争う”と表現してもおかしくない。

 ひとりの実力者が決意を新たにして最激戦階級に挑む。まずは、10月11〜12日に東京・代々木第二体育館で行われるワールドカップで、世界選手権出場を逃した悔しさを爆発させたいところ。世界の強豪を相手にした奮戦が期待できる。



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