世界選手権・女子展望
世界選手権（男子フリースタイル、女子）は９月12〜14日、米国ニューヨークのマジソン・スクエア･ガーデンで行われる。女子各階級の見どころをさぐってみた。
なお最終エントリーは11日は行われ、計量と組み合わせ抽選は11日午後６時（日本時間12日午前７時から行われる。（文責・日本協会広報委員会）
【48kg級】
昨年の世界チャンピオンで、今春の欧州チャンピオンのブリジット・ワグナー（ドイツ）はケガのため不出場が伝えられている。00・01年世界チャンピオンのイリナ・メルニク（ウクライナ）と、メルニクの好敵手で00・02年世界２位のインガ・カラムチャコワ（ロシア）が一歩リードしている状況。
急成長している地元のパトリシア・ミランダ（米国）、ロシアから国籍を移しているリディア・カラムチャコワ（トルクメニスタン）も金メダルを狙える力はあるだろう。
坂本真喜子は今年２月、メルニクやリディア＆インガ・カラムチャコワ、ミランダの出場した世界大会なみのレベルの「ヤリギン国際大会」（ロシア）でミランダを破って３位入賞している。あれからも成長していることを考えれば、金メダルの力は十分。
【51kg級】
昨年の世界チャンピオンと３位の選手が55kg級へアップ。必然的に２位だった伊調千春が優勝候補に踊りでる。
過去の成績を考えると、ロシア、米国、カナダあたりが要注意となるが、98〜01年に世界を制した日本代表の力はずば抜けていると考えていい。
【55kg級】
昨年の世界チャンピオンの吉田沙保里に挑むのは、昨年２位のティナ･ジョージ（米国）、昨年の51kg級世界チャンピオンで今年の55kg級の欧州２位のソフィア・ポウボウリドウ（ギリシャ）、同じく昨年の51kg級世界２位で今年の55kg級欧州チャンピオンのナタリア・ゴルツ（ロシア）など。
ほかにもウクライナ、スウェーデン、フランスなどがコンスタントに世界と欧州の上位に顔を出しているが、吉田と前日本代表の山本聖子との対戦成績・内容を見る限り力の差は明白。吉田が金メダルに一番近い位置にいることは間違いない。
【59kg級】
五輪で実施されない階級ということでか、昨年の世界チャンピオンのアレナ・ガルタショバ（ロシア）、51・56kg級で世界Ｖ３を達成している山本聖子以外に、過去これといった実績のある選手がエントリーしていない。両者の対戦の勝者が金メダルを獲得することは容易に予測でいる。
【63kg級】
昨年、初出場で世界チャンピオンになった伊調馨だが、敵は多い。まずアジア大会で伊調に勝って優勝したハイファン・シュ（中国）。さらに、ことし３月の「クリッパン国際大会」で伊調馨を破っているサラ・マクマン（米国）で、両選手とも打倒伊調に燃えているはず。
昨年世界２位で、世界チャンピオンを２度経験しているサラ・エリクソン（スウェーデン）は日本選手に相性が悪いので一段落ちると思われるが、世界Ｖ５のニコラ・ハートマン（オーストリア）はあなどれない。
ポーランド、ドイツ、ノルウェーなどはコンスタントに世界や欧州の上位に食い込んでいるが、３月の伊調との対戦結果からして、一段落ちることは明白だ。
【67kg級】
五輪で実施されない階級だが、ウクライナ、米国、ロシアの三強がエントリーしている。昨年優勝はカリナ・ブルミストロバ（ウクライナ）で、あとは00年に世界１・２位を争ったクリスティ・マラノ（米国）とアンナ・シャモバ（ロシア）。
ほかに昨年２位で世界チャンピオンの経験もあるリセ・レグランド（フランス）が出場してくる可能性がある。斉藤は昨年、レグランドに完敗したが、ことし３月の対戦では善戦し、成長のあとは明白。アジア・チャンピオンになったことの自信が加われば、これらの強豪と互角以上に戦えるはずだ。
【72kg級】
５度の優勝を目指す浜口京子の敵は、欧州勢力ではなく、米国とカナダのパンアメリカン勢だ。昨秋のワールドカップで浜口に土をつけたのはオヘネワ・アクフォ（カナダ）。そのアクフォを、ことし３月のパンアメリカン選手権と８月のパンアメリカン大会で破っているのがトッカラ・モンゴメリー（米国）。三段論法でいくなら、モンゴメリーの方が手ごわい。
だが、昨年階級を上げてきた選手なの、まだ72kg級の体にはなっていないことが予想され、浜口の有利は動くまい。浜口とは未対戦。
欧州勢は、01年世界チャンピオンのエディタ・ビトコウスカ（ポーランド）、昨年の欧州チャンピオンのスベトラーナ・マルチネンコ（ロシア）、ことしの欧州チャンピオンのアニータ・シャツル（ドイツ）らとなるが、昨年から今年冬にかけての浜口との対戦成績を見る限り、その牙城を崩すのは難しそう。
むしろ、昨年２位で若いワン・シュ（中国）の成長具合の方が要注意となりそうだ。