【特集】世界選手権に挑む(11)…女子59kg級・山本聖子
2年ぶりに世界選手権のマットに立つ山本聖子。階級は“自分の階級”ではなく、1階級上の59kg級だが、「過去3回と違うところはありません。いつもと同じく、勝つことだけを考えて臨みます」と特別な違和感はない。1階級違えば、かなり重たさを感じるのが格闘技の世界。山本も昨年のカナダカップでは59kg級(2kgオーバーで計量)に出場しているが、「大きくて重かった」という感触があった。
しかし、その大会でもきちんと優勝しているのだから、「大きい、重い」と感じるだけであって、スピードあるタックルでテークダウンを奪い、脇の下に腕を回しての横崩しで攻め勝つという勝利の方程式は、1階級上でも十分に通じる“破壊力”と言える。今回は59kgのリミット計量なので「あの時よりは重たく感じないでしょう」との余裕も見せる。
59kg級は五輪で実施されない階級のため、強豪が来年にそなえて上下の階級に移り、かなり優勝しやすくなっている。しかし、そんな知識を頭に詰め込むこともなかった。「思い切ってやることに変わりはない」と話す表情は、未知の階級であっても、誰が相手でも負けないという自信に満ちあふれている。
「早く試合がしたい」と、1年間余分に待たされた世界の舞台が待ち遠しい様子。前回の世界選手権から今回までの間には、吉田沙保里に日本代表を奪われる屈辱を経験し、かかとの骨折という痛手も負った。しかし今年3月に復帰して国際大会(クリッパン国際大会=スウェーデン、ポーランド・オープン)を連続優勝。4月の「クイーンズカップ」こそ吉田に敗れたものの、参考試合で2連勝と、つまずいた影響を全く感じさせない強さを戻した。失った2年間を取り戻すためにも、“あのマット”が恋しいのだろう。
2万2000人が入るマジソン・スクエア・ガーデンの大舞台も、「やってやるぞ、というエネルギーになります」ときっぱり。2年ぶり4度目の世界一に死角はない! (取材・文/樋口郁夫)
※「歴代世界チャンピオン」の項目参照 ⇒
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【山本聖子の最近の主な国際大会成績】
《2001年》
【東アジア大会】=優勝
リーグ1回戦 ○[フォール、2:26=4-0] Huang,
Dongmei (中国)
リーグ2回戦 ○[フォール、4:08=7-0] Lee,
Na-Lae(韓国)
リーグ3回戦 BYE
リーグ4回戦 ○[フォール、0:16=9-0] D'rozario,
Amanda(豪州)
リーグ5回戦 ○[フォール、2:45=5-2] Lin,
Chin-Miao (台湾)
【ワールドカップ】=優勝
リーグ1回戦 ○[フォール、5:35] Seve, Sandrine(フランス)
リーグ2回戦 ○[判定] Sun, Dongmei(中国)
リーグ3回戦 ○[フォール、4:32] Ferchichi,
Salma(チュニジア)
リーグ4回戦 ○[フォール、3:21] Ryz, Jennifer(カナダ)
リーグ5回戦 ○[フォール、5:27] Birge, Carrie(米国)
リーグ6回戦 ○[判定] Volossova, Lubov Michailovna(ロシア)
【世界女子選手権】=優勝
予選1回戦 ○[フォール、1:54=7-0] Tomeo,
Erin(米国)
予選2回戦 ○[4−2=6:36]Sun, Dongmei(中国)
予選3回戦 ○[不戦勝] Tsibanakou, Kostantina
Katerina (ギリシア)
準 決 勝 ○[フォール、3:28=6-0] Lee,
Na-Lae(韓国)
決 勝 ○[4−1=7:14] Volossova,
Lubov Michailovna(ロシア)
《2002年》
【世界学生選手権】=優勝
リーグ1回戦 ○[フォール] Tolin, Sarah(米国)
リーグ2回戦 BYE
リーグ3回戦 ○[Tフォール、11-0] Martinez
Zaldana, Saira (エルサルバドル)
リーグ4回戦 ○[5−0] Sun, Dongmei(中国)
リーグ5回戦 ○[Tフォール、10-0] Verbeek,
Tonya(カナダ)
【カナダカップ】=優勝
(内容不明)
【ワールドカップ】=優勝
リーグ戦1回戦 BYE
リーグ戦2回戦 ○[フォール、5-2] Lazareva,
Tatiana (ウクライナ)
リーグ戦3回戦 ○[フォール、3-0] Bradran,
Somaia(エジプト)
リーグ戦4回戦 ○[フォール、10-0] Jin, Yue(中国)
リーグ戦5回戦 ○[フォール、10-0] Al Rawafy,
Sawsan(チュニジア)
リーグ戦6回戦 ○[フォール、6-0] Karamtshakova,
Natalya(ロシア)
リーグ戦7回戦 ○[フォール、4-0] Verbeek,
Tonya(カナダ)
《2003年》
【クリッパン国際大会】=優勝
予選1回戦 ○[フォール] Sandra Sobieski(スウェーデン)
予選2回戦 ○[フォール] Evgenia Stamatakou(ギリシア)
予選2回戦 BYE
準々決勝 ○[Tフォール] Sarina Hengst(ドイツ)
準 決 勝 ○[判 定] Tonya Verbeek(カナダ)
決 勝 ○[判 定] Natalia Golts(ロシア)
【ポーランド・オープン】=優勝
予選1回戦 ○[フォール、0:31=4-0] Olga Smirnova(ロシア)
予選2回戦 BYE
予選3回戦 ○[7−0] Natalia Karamchakova(ロシア)
準 決 勝 ○[フォール、4:28=12-1] Gudrun
Hoie(ノルウェー)
決 勝 ○[4−3] Tatiana Lazareva(ウクライナ)