【特集】世界選手権に挑む(8)…女子48kg級・坂本真喜子



 「17歳の新星」と騒がれて日本を旅立った坂本真喜子は「ニューヨークへ行ったら気持ち高まると思うけど、今はまだない」と、9月初めの段階で大舞台前のプレッシャーは感じていない。それでも、ことし2月の「ヤリギン国際大会」出場前に比べると、「すごい大会に出るという気持ちです」と、ちょっぴり緊張感はある様子だ。

 7月に東京で行われた日本代表決定の最終参考試合の時は、マスコミの多さに「緊張して足が思うように動かなかった」と言う。今回も大観衆と多くのマスコミが注目することが予想されるが、「あの時の経験があるので、今度は大丈夫でしょう」と話し、日々進歩している状況。

 48kg級は米国、ウクライナ、ロシア、トルクメニスタン、中国などが横一戦といわれ、まれに見る混戦階級。優勝するには、きつい試合を2試合、3試合と勝ち続けなければならず、組み合わせの運も影響しそう。坂本もそのことは十分に認識している。しかし「練習でやってきたものを出すことができれば、勝てると思います。1試合1試合です」と、自分に言い聞かせるように話す。

 17歳といえば、1991年大会(東京)では、山本美憂のほか中国2選手が17歳で優勝している。その後、レベルが上がり優勝年齢も上がっていった。00年のイリナ・メルニク(ウクライナ=48kg級)や昨年の伊調馨(63kg級)ら「18歳」はいても、「17歳」は出ていない。もし今回優勝すれば、12年ぶりの17歳世界チャンピオンで、もしかしたら最後となるかもしれない。

 レスリング史に快挙として名を残す闘いは間もなく始まる。今回出場できなかった姉(日登美=51kg級で世界V2)の分もの奮戦が期待される。(文・取材/樋口郁夫)


 【坂本真喜子の最近の主な国際大会成績】

 《2003年》

 【ヤリギン国際大会】

予選1回戦 ○[判定] Oorzhak(ロシア)
予選2回戦 ○[フォール] Veitobva(ウクライナ)
予選3回戦 ○[フォール] Enh(モンゴル)
準 決 勝  ●[判定] Lidiya karamachakva(ロシア)
3位決定戦 ○[判定]Miranda(米国)




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