【特集】34か国142選手がエントリー…世界女子選手権




 米国レスリング協会は7月21日までに、世界女子選手権(9月12〜14日、ニューヨーク)のエントリー状況を発表。34か国から142階級(注:1階級に2〜3選手のエントリーがあるため、「選手」ではなく「階級」で表示)の出場申し込みがあった。

 予備エントリー(国として出場するかどうか)は5月30日、ノミネート・エントリー(各階級3選手までの出場候補選手名)は7月12日でそれぞれ締め切られているが、国際慣習からして、この後も申し込みがあったら受け付けるのが普通。まだプエルトリコ、ベネズエラ、メキシコ、コロンビアなどの中南米諸国や、台湾、インドなどがエントリーしておらず、最終的には昨年の34か国150選手を上回ることが予想される。

 階級別では、予想通り五輪実施階級(48、55、63、72kg級)に選手が集まり、67kg級は9選手のエントリーしかなかった。五輪実施階級では25選手前後の参加が見込まれ、予選リーグを勝ち抜いてベスト8。もう1回勝つか、負けても内容がよければ五輪出場資格の5位以内となりそう。

 57・56kg級で4度世界一に輝いているグドルン・ホイエ(ノルウェー)が48kg級にエントリーするなど、極端な階級変更もあった。またギリシアに国籍を変更していたはずの48kg級世界V2のイリナ・メルニクが、以前のウクライナからエントリーされるなど、不可思議なケースもあった。

 現時点での各階級の主なエントリー選手は下記の通り(エントリー全選手は、ここをクリック=pdfファイル)。


 【48kg級】=26選手

 昨年のこの階級の世界チャンピオンで、今春の欧州選手権でも優勝した
ブリジット・ワグナー(ドイツ)が参加。昨年世界2位のインガ・カラムチャコバ(ロシア)は、ことし欧州2位のリリヤ・カスカロバらと同国代表を争っている。

 ほかに、51kg級でコンスタントに欧州・世界の上位に顔を出し、昨年はこの階級で3位に入った
イダ・ヘレストロム(スウェーデン)が、ことしも48kg級に出場する。世界を2度制しているイリナ・メルニク(ウクライナ)は、昨年のワールドカップ3位のユリア・ボイトバと同国代表を争っている。

 アジアからは、
坂本真喜子(愛知・中京女大付高)のほか、00年にロシア国籍で欧州チャンピオンに輝き昨年のアジア大会2位のリディア・カラムチャコバ(タジギスタン)が目立つ。米国からは昨年のパンアメリカン・チャンピオンのパトリシア・ミランダが出場。カナダは、51kg級から落として今年の48kg級パンアメリカン2位のリンドセイ・ベリスルと01年世界2位のキャロル・ヒュンが争っている。


 【51kg級】=21選手

 昨年の世界1、3位はともに55kg級へ上げ、同4位は48kg級へ落とした。ことしの欧州3位の
ナタリア・カラムチャコバ、同3位のアレクサンダー・ダンメル(ドイツ)が目立つ程度。昨年世界2位の伊調千春(中京女大)に金メダルの可能性は十分。


 【55kg級】=24選手

 昨年の世界チャンピオンの
吉田沙保里(中京女大)に対し、昨年の55kg級のみならず51kg級と59kg級の強豪が挑むことになった。

 55kg級からは世界2位の
ティナ・ジョージ(米国)、3位のイダ・テレス・カールソン(スウェーデン)、00〜02年の欧州チャンピオンのタチアナ・ラザレバ(ウクライナ)。

 51kg級からは世界チャンピオンの
ソフィア・ポウムポリドウ(ギリシャ=国内で代表争い中)、同級世界3位でことしの55kg級欧州チャンピオンのナタリア・ゴルツ(ロシア=国内で代表争い中)。59kg級からはことしの欧州チャンピオンのモニカ・ミチャリク(ポーランド)。激戦階級となった。


 【59kg級】=14選手

 昨年の世界チャンピオンの
アレナ・カルチャチェバ(ロシア)がこの階級に残った。ほかは、ことしの欧州2位のステファニー・スチュバー(ドイツ)、同3位のオルガ・キギナ(ウクライナ)が目立つ程度。

 山本聖子
(ジャパンビバレッジ)にとっては、マークする選手が絞りやすく、金メダル獲得のライバルは1選手だけか?


 【63kg級】=23選手

 世界チャンピオンの
伊調馨(中京女大)を破ったことのある選手が2人いる。中国のシュ・ハイヤンは昨年世界4位とアジア大会優勝の選手。あと1人、サラ・マクマン(米国)が伊調の“天敵”。

 ほかに世界を2度、欧州を3度制している
サラ・エリクソン(スウェーデン)。昨年世界3位でことしの欧州チャンピオンのレネ・アーンズ(ノルウェー)、昨年世界学生選手権と欧州選手権を制したバッサ・マルゴルザタ(ポーランド)、世界V5のベテラン、ニコラ・ハートマン(オーストリア)が要注意。上下の階級からの移動はあまりないが、強豪がそろっている階級だ。


 【67kg級】=9選手

 階級を上げると思われた世界チャンピオンの
カテリナ・ブルミストロバ(ウクライナ)はこの階級に残り、ことし欧州2位のバレリア・ズラトバと代表権争い中。ほかには00年68kg級世界2位のアンナ・シャモバ(ロシア)、昨年の世界学生2位のシャノン・サムラ−(カナダ=国内で代表争い中)が目立つ程度。2年連続の欧州チャンピオンのフランス選手は不出場。

 
アジアを制した
斉藤紀江(ジャパンビバレッジ)の金メダルが期待される。


 【72kg級】=25選手

 昨年の世界チャンピオンの
浜口京子(ジャパンビバレッジ)、同2位のワン・シュ(中国)、同3位で前世界チャンピオンのエディタ・ビトコウスカ(ポーランド)以下、同4位、同5位が出場。

 ここに、ことしの欧州チャンピオンの
アニータ・シャツル(ドイツ=01年世界3位のニナ・イングリッシュと代表争い中)、パンアメリカン・チャンピオンのトッカラ・モントゴメリー(米国)、同2位で浜口を破っているアクフォ・オヘネワ(カナダ=世界V6のクリスチン・ノードハゲンと代表争い中)が加わる。浜口にとっては、ほとんどが手の内を知っている相手だ。




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