【特集】ビル・メイのアジア選手権リポート…第3日(午後)

取材/文:ビル・メイ
(チェコ・プラハ在住、元国士大コーチ)


 アジア選手権第3日午後は、フリ-スタイル66kg級の池松和彦(日体大助手)の決勝などが行われ、池松は6分間が終わった段階で金メダルを“触り”ました。しかし次の6秒間で“盗まれ”てしまいました。

 池松は決勝という舞台にもかかわらずリラクッスし、アンクルホールドなどでイランのナンバー2のハサン・タマセビに2−0とリード。あと1点で1996年の和田貴広以来のフリーのアジア王者になるところまで到達しました。しかし延長へもつれ、クリンチの開始直後、タマセビが池松をつり上げて背中からマットに落とし、3点を奪って逆転勝ち。無念の銀メダルに終わりました。

 池松はショックが大きいとみえ、表彰台では全く感情を表さずに銀メダルをもらいました。 しかし、池松はこれまで、国際大会では銀メダルどころか入賞もありませんでした。オリンピックの前年にこうした成績と内容を残したことは、価値あることだと思います。「6分間のうちに3点目を取るため、もっと頑張らないといけなかった。クリンチでは何が起こるか分からないですね。悔しい。世界選手権を目指して、これから頑張りたいと思います」と話しました。

 女子は金メダル2個と銀1個を獲得しました。48kg級の野口美香(鹿児島・鹿屋ク)は台北のカオ・ウェイチェイン(台湾)を飛行機投げで倒し、ローリングのあと腕を取って返して、1分19秒でフォール勝ちしました。

 63kg級の正田絢子(東洋大)はギーティカ・ジャカール(インド)に対して実力の違いを見せるタックルや返しのレスリングを展開し、テクニカルフォールで快勝。アジア選手権大会でV3を達成しました。正田は「世界を1度取ったから(1999年)、アジアでの優勝は当然、と言われてきました。優勝できたとき、『やった』と思いました」と話しました。

 しかし55kg級では、アジア大会2位の韓国選手を破って決勝へ出た立本小百合(中京女大)が同じアジア大会の銅メダリストのオトゴンジャルジャル・ナイダン(モンゴル)を相手に、緊張し過ぎたのか動きが硬く、あまり動けませんでした。パッシブを2度取られるなどして0−9で完敗しました。



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