【特集】ビル・メイのアジア選手権リポート…第2日

取材/文:ビル・メイ
(チェコ・プラハ在住、元国士大コーチ)


 アジア選手権第2日は、世界選手権代表でもあるフリースタイル66kg級の池松和彦(日体大助手)が敗者復活戦で2勝を上げ、準決勝戦へ進みました。

 池松は予選3回戦でサビト・ケンディマエフ(カザフスタン)に両足タックルなどで安定した攻撃を仕掛け、6−0で勝って敗者復活戦に進出しました。そこでは2000年のアジア・ジュニア王者のシメンクル・タバルディエフ(キルギスタン)に対してタックルで1ポイントずつ加え、4−1で勝ちました。波に乗り、次の試合ではポロト・ウラジマベオフ(ウズベキスタン)に3点の両足タックルを決め、9−1と一方的な判定勝ち。準決勝進出を決めました。

 和田コーチは「きのは1回戦の韓国選手に対し、ちょっと緊張し過ぎた。きょうはリラックスできて、いいレスリングができた」と分析しました。準決勝の相手はアジア大会の銅メダリストのノルジン・バヤルマグナイ(モンゴル)の予定です。

 もう1人、敗者復活戦に進んでいたグレコローマン84kg級の太田充洋(日本文理大職)は、ジャナール・ケンジエフ(キルギスタン)と対戦し、パッシブを取ってガットレンチを仕掛けましたが、うまく体を預けられ、下になってしまってフォールを取られました。2試合目は一昨年のアジア・チャンピオンのバエ・マンク(韓国)ににクリンチの失敗とローリングで失点し、0−3で負けて準決勝進出はなりませんでした。

 世界学生チャンピオンのフリースタイル55kg級の松永共広(日体大研)は、前日の2試合をともに延長での1ポイント差で負けていました。この日の3回戦では、エンクチュール・バダムゴイカン(モンゴル)に1−5とリードされましたが、大内刈りとニアフォールで4−5で追い上げ、ラスト1分で両足タックルを決めて3点を取り、逆転勝ちになりました。いい試合の連続で、1日早くこうした調子が出てほしかったと思います。

 2日目にスタートしたフリースタイル74kg級では、長島和幸(早大)が1回戦でアンクルホールド2回などでパン・ザンクイェット(ベトナム)に文句なしの7−1の勝利を挙げました。3日目は地元インドの人気のスジット・マンと対戦します。

 グレコローマンでは、74kg級の若手、鶴巻宰(国士大)がサラン・ゴリアン・モハマド(シリア)に3−1で勝ちましたが、鶴巻がもらったの一つのポイントは面白かった。サランがピリオド間のインターバルの時ににシューズをはずして、痛めた足首にアイシングをして、第2ピリオドにマットに戻ると、シューズのひもをテーピングしなければならず、これでパッシブが課せられて鶴巻が1点を取りました。

 55kg級の藤田康人は、ドナン・フエ(ベトナム)のしつこさにてこずり、シーソー・マッチで10−9で勝ちましたが、予選リーグ突破はなりませんでした。

 66kg級の伊是名正旭(日体大OB)はアジア・ジュニア選手権2位のカナト・バガリエフ(キルギスタン)に対して3−2とリードしましたが、ラスト30秒ni胴タックルを受けて倒され、逆転フォール負けしつぃまいました。



 女子はこの日も好調でした。48kg級の野口美香(鹿児島・鹿屋ク)は3回戦のカミニ・ヤダフ(インド)戦を3−1で勝ち、決勝進出を決めました。しかし、けがをした左ヒザを心配しているようで、でちょっと不安定なレスリングでした。自分からタックルや投げを狙わず、相手のタックルを止めてゴー・ビハインドを取ること3度。ラスト20秒に場外逃避を取られて失点しました。

 野口は「まだヒザが痛く、タックルに入るのはこわかった」と言いました。しかし、「明日(決勝戦)は大丈夫です。頑張ります。」とも話しています。

 63kg級では、アジア選手権V3を狙っている正田絢子(東洋大)が、3回戦で韓国の元柔道選手のハン・ジンヨンの投げ技を気をつけながら2度タックルを取り、すぐローリングで返して6−0。後半は強引な技をせずに戦い決勝進出を決めました。

 2日目からスタートした2選手も好調です。51kg級の服部担子(中京女大)は、レヌ・バラ(インド)の巻きを押さえてフォールでスタート。夜のセッションでワン・キシング(台湾)に腕取り返しで勝ち2連勝。59kg級の岩間怜那(リプレ)はアルカ・トマール(インド)に対して5種ルのタックルを使い、手首取りの返し技も見せて11−0のテクニカルフォールで初戦白星。2回戦もローザ(カザフスタン)を26秒、フォールで勝ちました。

 しかし72kg級の村島文子(中京女大)はブルマー・オチルバト(モンゴル)に小外刈りをかけられ、背中からマットに落ちてフォール負け。この大会の日本女子の初黒星になりました。高熱が出たため、一昨年のアジア・チャンピオンのカン・ミンイェオン(韓国)が相手だった夜のセッションは棄権しました。



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