【特集】新ルールへの不安が守りの姿勢へ…井上謙二





 前日の永田克彦(男子グレコローマン74kg級)に続いてアテネ五輪代表が敗れた。井上の場合は銅メダリストだけに、周囲の衝撃はより大きかったが、井上は新ルールに対して不安があったという。「ちょっとした不安でも、試合では大きくなってしまうものですね。消極的になると、せっていても自分が不利になる。オリンピックでのイラン戦でも消極的になり、守ろうという意識が負けにつながった。攻めるという気持ちを忘れて、守って勝とうという一番悪い試合になってしまった」と反省の弁が続いた。

 今大会に出場する男子で唯一の五輪銅メダリストだけに、周囲の注目も大きかった。「ゼロからスタートだと思い込もうとしていたけど、そうは思い込めなかった。変なプライドが出たらダメだと思ったんだが…」と、意識と本心が微妙にずれてしまったようだ。

 これもメダリストが経験しなければならない試練だろう。「世界一目指してがんばります」。最後はそう言いきり、巻き返しを期していた。




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