【特集】逆境の中で北京五輪への道がスタート…男子グレコ96kg級・森角裕介



 ▼2回戦  森角裕介(長野県協会)○[フォール、3:10]●日垣貴文(国士大)
 ▼準決勝 森角裕介(長野県協会)○[2−0(2-0,1-0)]●前島信彦(拓大)
 ▼決  勝 森角裕介(長野県協会)○[2−1(1-3,1-0,1-0)]●加藤賢三(自衛隊)

 《決勝戦経過》第1ピリオドは加藤が終了間際に首投げを決め、森角がバックを取ったものの3−1で勝利。第2・3ピリオドはともに0−0で終わり、ともに森角がコイントスで勝利。いずれもそり投げを仕掛け、完全には決まらなかったがコレクトホールド(移動ポイント)を取り、2ピリオドを連取した。


 アテネ五輪出場を逃したことで新日本プロレスを辞め、インターネットカフェで深夜のアルバイトをしながら母校(長野・北佐久農高)で練習している森角が、ここ数年来のライバルであり、壁になっていた加藤賢三を破って全日本王者に返り咲いた。

 ルールが変わり、クリンチで勝負するケースが増えることを予想した。「クリンチはあまり得意じゃないので、厳しい戦いになると思った」そうだが、そのクリンチを2度とも取ることができたのは、後のない断崖絶壁の状態にいる選手の必死さだろうか。

 新日本プロレス職員時代の約2年間は恵まれていたそうだが、「今思えば、甘いところがあったかもしれない」と振り返る。厳しい環境に放り出され、「本当に頑張ろう、という気持ちが湧いてきました」と言う。25歳。 “フリーター人生”で不安がないはずはないが、アテネ五輪を逃した悔しさを、4年後に晴らしたいところ。

 逆境と戦いながらの北京五輪への道を、一歩駆け上がった。




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