国際レスリング連盟(FILA)新ルール条文&全日本選手権は新ルールで実施




 日本協会審判委員会は、埼玉国体の期間中に行われた全国連絡会で、国際レスリング連盟(FILA)が2005年1月1日から実施する新ルールおよび新競技システム(組み合わせ方式)の条文の日本語訳を発表した。新条文は下記の通り。

 なお強化委員会は、12月21〜23日に東京・代々木第二体育館で行われる天皇杯全日本選手権を、新ルールで実施する方針を明らかにした。組み合わせに関しては敗者復活戦を採用せずトーナメント方式で行う方向だが、1回戦から決勝までを1日で実施するルールは採用する見込み。したがって、昨年までのように最終日に全階級の決勝戦が行われることはなくなり、3日間の各日に決勝戦が行われる。実施要項は近日中に決定され、各所属などに配布される。

 強化委員会では、11月26〜27日にフランス・ニースで行われる新ルールの大会、ヘンリ・デグレーン国際大会(3スタイル)にコーチ2名を派遣し、視察する予定。

 また、日本社会人連盟は、11月13〜14日に東京・スポーツ会館で行われる全国社会人オープン選手権を新ルールで実施する可能性があることを明らかにし、連盟で検討することになった。


レスリングルールと競技システムの改善
 変更の動機



 FILAはその設立から常にレスリングを大衆とメディアにとってさらに魅力的なものにするためにルールを変更して採択してきました。これらの変更は時として認識された問題に対処するために行われ、各総会で採択された通常の解釈が説明されています。

 レスリングのイメージと内容を根本的に変化させる目的を持って重要な改定案が総会
に提出されるのは初めてのことです。

 これらの提案はこれらのルールを変更するためにFILAが行った幅広い諮問の結果です。各大陸で話し合いの場が設けられ、各国内達盟に質問書と提案が提出されました。報道関係者、TV局、およびレスリング関係者にも相談しました。

 これらの改定案はさまざまな国内連盟でテストが行われ、レスリングの内容に関する新しい世界的な様相の一部となっています。皆様にこれらを完全に採択していただくようにFILAが提案する理由はここにあります。部分的な改正ではわれわれは過去に戻ってしまい、基本的な問題の解決にはならないからです。

 これらの変更はレスリングのイメージを変えるために本当に必要なものであり、またテレビ視聴者にとって魅力的で興味を持たせる近代的なスポーツを望んでいるスポンサーの要求にこたえるオリンピック大会のプログラムを採用するというIOCの圧力に対抗するためには不可欠なものです。


ルールの変更


A.競技システム

 1、すべてのレスリングの大会は直接敗退システムによって行われ、決勝戦進出選手に負けた選手が敗者復活戦に回るものとする。理想的な選手数の吟味は試合の最初に行われ、試合は組み合わせ表の下位から開始する。敗者復活戦は決勝戦進出者に1回戦(理想的な選手数を決めるための試合を含む)で敗れた選手から始めて、準決勝敗退者まで直線的に行う。敗者復活戦の最後の2試合の勝者に銅メダルが与えられる。


 2、各体重階級の試合は1日で終了する。軽量はその階級の試合開始の前日にそれぞれ実施する

B、試合時間

 1、試合時間は2分間の3ピリオドとし、30秒の休憩を挟む。各ピリオドごとに勝者を決定しなければならない。2つのピリオドを勝ち取ったものが試合の勝者となる。2ピリオドの終了時点で勝利を宣告できる場合には第3ピリオドは省略される。フオールの場合はピリオドに関係なく、自動的に試合が終了する

 2、あるピリオドで同点の場合には以下の要素を連続的に検討して勝者を決定する
  −技術得点の価値(3−2−1)
  −それでも同点の場合は最初に技術得点を得たものを勝者とする。

C、得点システムの変更

 1、5ポイントのグランド・アンプリチユード・ホールドを行ったレスラーは得点に関係なくそのピリオドの勝者と宣言される。

 2、3ポイントのホールドをひとつのピリオドで2回行ったレスラーは得点に関係なくそのピリオドの勝者と宣言される。

 3、技術得点の差が6点になった場合もそのレスラーがそのピリオドの勝者と宣言される。

 4、スタンデイング・ポジションのレスラーが足をプロテクション・エリアに出すごとに、相手に技術得点1が与えられる。

 5、マットからの逃避行為とスタンデイングやバーテレ・ポジションでのホールドからの逃避には現行通り1または2ポイントの技術得点のペナルテイと1つのコーションが課せられる。

 6、出血のない負傷による試合の中断には相手に1ポイントを与えるというペナルティが課せられる。

 7、グラウンドからのリフティングに対する追加ポイントは廃止する。

 8、グラウンドから立ち上がったレスラーに与えられるポイントは廃止する。

 9、警告またはパッシーブの後のバーテレ・ポジションは廃止する。

 10、ガットレンチとアンクル・レース・ホールドは連続して複数回行うことができる。

 11、パッシーブに対する警告は廃止する。

 12、例外的な場合で、2分間のピリオドが0−0で終了した場合には、マットから足を出したり、ホールドから逃避したり、あるいはマットから逃避したことによるペナルティの可能性にかかわらず、2分間の通常の時間の終了時にクリンチが命じられる。レフェリーは最初にクリンチするレスラーを決めるための抽選を行う。クリンチは最大20秒間継続するものとする。勝者を決定するために現行のクリンチのルールを適用する。20秒経ってもクリンチに勝った選手が技を出さない場合はその選手は1ポイントを失う。

 13、グレコローマンにおけるクリンチでは、両方の選手をスタンデイング・ポジションにし、両足をセンターサークルにおいて胸を合わせる。トスに勝った選手が先にホールドし、ホールドが行われた直後に、相手がクリンチをしていなくとも、レフェリーが笛を吹いたときに技をかけることができる。            、

 14、フリースタイル・レスリングのクリンチは別の方法で行わなければならない。トスに勝ったほうのレスラーは相手選手の足をつかむものとする。これは2分間の通常のピリオドが0−0で終了した場合にも適用される。

 15、2つの試合の間の回復時間は、競技の中断を排除するために、15分間に短縮する。

D、順位決定システム

 1.直接敗退システムの導入に伴い、各階級のレスラーは次のような方法で順位をつけるものとする。
  −銅メダルを争う2試合の3位決定戦での敗者は5位の同順位とする。
  −7位以下の選手の順位は獲得ポイントによって順位を決定する。獲得ポイントが同点の場合は以下の基準を連続的に分析して順位を決定する。
  − 以下の基準によって順位が決められない場合は同位とする。

    1.フォール勝ちが最も多い選手  
    2.大差(6ポイント差)による試合の勝利が最も多い選手
    3.大差によるピリオドの勝利が最も多い選手
    4.全試合を通して獲得した技術ポイントが最も多い選手
    5.全試合を通して与えられた技術ポイントが最も少ない選手

  −敗者復活戦に出場したレスラーも全試合を通して獲得したポイントに基づいて順位を決めるものとする。

獲得ポイント

  −フォールによる試合の勝利     5ポイント
  −大差、棄権、失格による試合の勝利 4ポイント
  −得点による試合の勝利       3ポイント
  −技術ポイントを獲得した敗戦    1ポイント
  −技術ポイントを獲得しない敗戦   0ポイント




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