【特集】教え子の快挙に励まされ、五輪代表決戦を制する…成年84kg級・横山秀和




 埼玉国体成年の部で、アテネ五輪フリースタイル74kg級代表の小幡邦彦(山梨・総合警備保障山梨)が同84kg級に出場。五輪84kg級代表の横山秀和(秋田・秋田商高教)とともに勝ち上がり、決勝戦で激突。横山
(写真右の赤)が延長の末に競り勝ち、階級が上の選手の意地を見せた。

 昨年の決勝でも実現したカード。その時は横山がフォールで下し実力の違いを見せた。しかし五輪代表となり大舞台も積んだ小幡の成長は衆目の一致するところ。全日本チームの合宿でも「スパーリングになると、まずぶつかってきた。強くなっているのがはっきり分かった」(横山)とのことで、接戦になることが予想された。

 その予想通り、試合は1ポイントを争う緊迫した内容となり、第1ピリオドは0−0。第2ピリオドへ突入する際のクリンチで小幡が手を離してしまい、横山が1点を獲得。さらに、そのままのスコアで6分間の規定の試合時間が終了し、延長に突入するにあたってまたクリンチの攻防。ここでも横山がうまい身のこなしで1ポイントを取り、勢いに乗ってバックを取り、3点目も取ってけりをつけた。

 横山は「守り切る、といったらおかしな表現だけど、そうそうポイントは取れないと思っていたから…」と振り返り、クリンチの攻防で勝機を見い出すのは予定通りといったところ。クリンチの攻防には自信があったようだ。

 マットに上がる前に、少年66kg級で秋田商高の教え子の宮原崇の優勝、年間三冠王獲得の知らせが入った。「教え子の快挙は励みになりましたね」。アテネ五輪での奮戦も教え子の存在があればこそ。高校の指導者としての喜びも十分に感じることのできた国体二連覇だった。

 アテネ五輪のあとは、「国際大会はもう打ち止め」といった意味のことを口にしていたが、国内で勝てるにもかかわらず、自ら道を閉ざすのはもったいないような気もする。そのことを問われると、「先のことは全く未定。全日本選手権に出るかどうかも決めていませんかた」と苦笑い。しかし3年後の秋田国体は目標のひとつ。当分、マット上で熱い戦いを見せてくれそうだ。




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