【特集】加ト吉杯2004女子ワールドカップ・日本選手の声



 48kg級:伊調千春(中京女大)「中国戦で延長になったときは、アテネ・オリンピックの決勝を思い出し、勇気をもってタックルに入りました。みんなで力を合わせて優勝できて、うれしいです。姉妹優勝ということもありますが、14人全員で金メダルを勝ち取ったと思っています。

 直前合宿まで本格的に練習できず、とても不安でしたが、14人の集中力はすごかったと思います。浜ちゃん(浜口京子)が気合もいれてくれたし。坂本姉妹(真喜子・日登美)とは、同じ地元でいい仲間でもあるので、励まし合って、これからもずっとライバルとして競い合っていきたいと思います」


 48kg級:坂本真喜子(中京女大)「ロシア戦では次に姉が控えていたので、うまくつなげたいと思って戦いました。昨年は2敗してしまいましたが、今年は自分が出た試合ではしっかり責任が果たせたので、まずは安心しています。入場セレモニーはかっこよかったですね。気持ちが盛り上がりました。姉といっしょだったので、落ち着いて戦えたと思います」


 51kg級:坂本日登美(和光ク)「大会初日は久しぶりの試合ということもあり、自分でも信じられないほど緊張しましたが、2日目は自分の思った通りに体が動け、自分らしいレスリングができたと思います。大勢の方々から期待されるようになり、とてもうれしいです。伊調姉妹ががんばっているので、いいライバルとして妹と二人これからもがんばっていきます。まずは12月の全日本選手権で優勝して、来年の世界選手権へつなげたいと思います。世界選手権で優勝するまでは、51kg級でやっていきます」


 55kg級:吉田沙保里(中京女大)「みんなでがんばって、全勝優勝できてとてもうれいしです。個人的には、いろいろ勉強になりました。何度もポイントを取られたので反省しています。そんなにポイントが取れなくても、取られないレスリング。もっとパワーをつけて、フォールできるレスリングを目指します。目の前の目標をひとつひとつクリアしながら、連勝記録をもっともっと伸ばして北京オリンピックで2連覇します」


 59kg級:山本聖子(ジャパンビバレッジ)「自分は1試合負けてしまいましたが、みんなでがんばって目標としていた金メダルが取れてよかったです。日本選手はみんなすごいと思います。天井から振ってきた金の紙吹雪は、最後の試合に出場できなかった選手にもかけて、みんなで喜び合いました。応援してくれた姉(山本美憂)をはじめとする家族、友人のおかげで力いっぱい戦えたと思います。まだヒザの調子がよくないので、全日本選手権に出場するかどうかはこれから考えます」


 59kg級:岩間怜那(リプレ)「(自分の出た最後の試合は)聖子が負けたアメリカの選手に勝ったロシアの選手だったので、簡単には勝てないと思っていましたが、足がよく動き、2ピリオド目からは思い切り入れて得意のタックルが決まりました。チームの勝利に貢献できてうれしいです。入場するときはちょっと恥ずかしかったですが、気持ちが高まりました。日本選手はみんな速攻レスリングですが、自分はエンジンのかかりが遅いので、それを克服することが課題です。当面の目標は12月の全日本選手権。59s級で6連覇を目指します」


 63kg級:伊調馨(中京女大)「みんなで金メダルを勝ち取ることができ、うれいいです。練習できない不安や緊張がありましたが、それらを乗り越えていい試合ができたと思います。

 全日本選手権から厳しい闘いが始まり、それに向かって厳しい練習に耐えなくてはなりませんが、次こそは千春といっしょに金メダルを取りたいという夢があるので、二人でがんばれると思います」


 72kg級:浜口京子(ジャパンビバレッジ)「去年は悔し涙でしたが、今回はみんなで喜んで、笑って終えられてよかったです。やっとゆっくり休養できるので、ホッとしています。アテネから帰ってきてからも緊張が続く毎日でしたが、全力で戦えました。最後は、もう戦わなくていいんだと思ったら、全身の力が抜けてマットの上で大の字になってしまいました。

 これからは、自分がどこまで強くなれるのか、挑戦していきたいと思います。人類最強、怪物のような、全盛期のアレクサンダー・カレリン(ロシア=五輪V3)のような、最重量級の王者。北京オリンピックという目標に向かって努力を重ねていけば、自分は間違いなく最強になっています。
 
 今回ゴールデンタイムで放映され、日本女子レスリングの強さをたくさんの方々に知っていただけ、レスリングが広まったと思います。終わった〜!」


 鈴木光監督(ジャパンビバレッジ)「ありがとうございます。みなさんのおかげで、優勝することができました。北京オリンピックに向け、各国とも強豪がひしめき合っている状態ですが、そうした厳しい中でも日本の力を知らしめることができたと満足しています。選手が全員よくがんばってくれので、感謝しています。また、関係者、マスコミのみなさんにも、お礼をいわせていただきたいと思います。

 4年後の北京オリンピックに向けて、新しいスタートが最高の形できれました。オリンピックの疲れから体調を崩す選手もおり、ベストの状態で大会に臨めるかどうか危惧されましたが、彼女たちは体を治すのも早く、一流でした。この大会を観て、小学生、中学生、高校生が自分たちもレスリングをやってみたい。がんばればオリンピックに手が届くんじゃないか、あんな選手たちみたいになれるんじゃないかと思ってくれたら、幸いです」


(取材=宮崎俊哉)


《iモード=前ページへ戻る》

《前ページへ戻る》