【特集】世界チャンピオンになる自信がついた…松本慎吾




 五輪V2のハムザ・イェルリカヤ(トルコ)に胸を借りるような形で、この数年間を成長してきた松本慎吾(一宮運輸)。初めてのオリンピックは、2002年世界チャンピオン(アラ・アブラハミアン)、昨年世界3位のアッチラ・バトキー(スロバキア)と同グループという厳しい組み合わせとなったが、世界3位を食い
(写真右)、7位入賞(当初は8位=上位選手に失格者が出て繰り上がり)という好成績を挙げた。

 「4年間の成果は出せました。外国選手に力負けはしなかったし」と、確かな手ごたえを明言。試合前から気力は充実しており、体調もよかった。それだけに初戦のアブラハミアン戦の黒星が悔やまれる。「(相手は)後半ばてていたし、スタンドは差がなかった」と、世界一との差は本当に紙一重のところまできていることを実感した。

 オリンピックのムードは「最高ですね。多くの人から応援してもらってうれしかった」と、晴れ舞台に立つ喜びも十分に感じた。それだけに、今後のことを聞かれるて「少し休んでから、考えます」と言いながらも、その舌の根の乾かぬうちに「すぐに、またやりたくなると思います。世界チャンピオンになれる自信がついた。次はもっと上を目指したい」と世界一奪取を高らかに宣言した。

 「外国選手との体力差はまったく感じなかった」とは、ここ数年間変わらぬ実感。ただし、来年からルールが変わるので、戦い方も変えなければならない。「早く新しいルールになれたい」と、やる気にはやる言葉が次々と出てきており、“休み”は極めて短期間になりそう。飛躍が期待できる。

(取材・文=樋口郁夫)



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