男子両スタイルの全日本チームが欧州遠征へ出発




 男子両スタイルのアテネ五輪代表チームが6月1日、相次いで欧州遠征へ出発した。フリースタイルは約2週間の日程で、マケドニアとドイツで国際大会に出場し15日に帰国。グレコローマンは約1か月の遠征となり、ドイツで練習したあと、ドイツとハンガリーで試合に出場して29日に日本へ戻る。

 ともに五輪
前の最後の実戦練習。フリー・チームに同行する富山英明強化委員長(日大教)は、「今回の大会はオリンピックの前哨戦。ここで上位に入らないと、オリンピックの好成績はないと思っている」と、結果を求める姿勢を鮮明に出す。

 グレコ・チームを率いる伊藤広道(自衛隊)は「ヨーロッパの選手でも、ドイツとハンガリーではタイプの違う試合をする。合宿には、分かっているだけでもキューバ、フィンランド、デンマークなどからオリンピック代表が参加する。いろいろなタイプの選手と肌をあわせて、細かいポイントをつかんでほしい」、嘉戸洋コーチ(国士大コーチ)は「もったいぶらずにどんどん技を試してほしい。本番に向けて、不安を残してしまうような試合はしないでほしい。練習の一環とはいえ、試合は試合としてしっかり取り組んでほしい」と、それぞれ選手に望んだ。

 各選手の意気込みは下記の通り


 (写真は、左から小幡、池松、田南部、井上、横山)

 
フリー55kg級:田南部力(警視庁)「おととい、子供と海に行ってカニを捕ったりして休日を楽しみ、リラックスできました。その分、がんばってきます。誰が相手でも弱気にならないように冷静に試合を運びたいと思います。コーチ陣にしかられないようにしっかりやってきます。今練習している技があるんですが、まだ内緒です。遠征中の大会で試してみて、自分のものになったら報告します」

 
フリー60kg級:井上謙二(自衛隊)「ケガをしているので、試合に出られるか分かりませんが、出場したいと思っています。詰めが甘いところが課題です。練習通りに確実にポイントにつなげる攻めができれば、いい結果が出るはずです」

 
フリー66kg級:池松和彦(日体大助手)「勝つことにこだわりたい。最後まで攻撃し続けます。もつれるとケガにもつながるので、ポイントも足もとられないように、足を触らせないくらいの気持ちで試合をしたいと思います」

 
フリー74kg級:小幡邦彦(綜合警備保障)「片足タックルに入ってからの処理を新しく練習しているので、試したいです。ケガはしないように、でも勝ちにこだわって、優勝して帰ってきます」

 
フリー84kg級:横山秀和(秋田・秋田商高教)「自分の持っている力を出し切るだけです。自分を追い込む練習ができる環境はなかなかないので、今回は現在の自分の状態を確かめるいい機会だと思います」


 (写真は、左から松本、笹本、豊田、永田)

 
グレコ55kg級:豊田雅俊(警視庁)「がんばります。海外遠征は日本では経験できないことがいろいろあります。外国人なれをするようにしたいです。もちろん試合はベストを尽くします」

 
グレコ60kg級:笹本睦(綜合警備保障)「合宿に参加する中ではキューバがターゲットです。他の出場選手にも、強い相手にはどんどん当たっていくつもりです。俵返しがどうやったら持ち上がるかなど、他の国の五輪代表の研究ができるので楽しみにしています。グラウンドの防御も、日本では(自分より強い相手がいないので)なかなか練習できないので、今回しっかりやりたいと思います。大会では順位よりは内容に重点を置きますが、がんばってきます」

 
グレコ74kg級:永田克彦(新日本プロレス職)「シドニー五輪の決勝で当たったキューバのアスクイや、ロシア、ウクライナなど手足の長い選手の攻めが苦手なので、合宿では参加選手と何度も当たって、相手の技を切れるようにチャレンジしたいです。攻撃パターンや技に入るバリエーションも増やしたいと思っています。腰の上の方で組むローリングを試してみたいです。試合は、結果を気にせず、オリンピックを最高のものにすることにつながるようにできればと思います」

 
グレコ84kg級 松本慎吾(一宮運輸)「最初にパッシブをとられがちなので、自分が取れるように前に出ることを心がけたいです。スタミナには自信があるので、前半どんどん攻めて、後半に勝負をかけたい。去年のドイツグランプリは5位だったのですが、その時あたったウクライナのダラガンも参加すると思います。後半クリンチから流れが変わってグラウンドで負けてしまったので、去年と同じ失敗がないようにしたいです。後半でも俵返しができる自信がありますが、何が起こるか分からないので、前半から取りにいきます。優勝はもちろんしたいけど、内容をより大切にしたいです。満足のいく試合内容で、その結果が優勝だといいですね」

(取材:撮影=保高幸子、構成=樋口郁夫))


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