【特集】「辛い時期に見守ってくれた人に感謝したい」…井上謙二



 フリースタイルのアテネ五輪第2次予選第2ステージで優勝し、五輪出場資格を獲得したフリースタイル60kg級の井上謙二(自衛隊)が2月17日、ウイーン経由で帰国した。五輪代表になるには、4月の明治乳業杯全日本選抜選手権での優勝が条件だが、五輪出場は目の前。94年の高校三冠王者ながら、全日本王者に手が届かなかった大器が、やっと花開こうとしている。喜びと4月の全日本選抜選手権にかける声を聞いた。(聞き手・写真=保高幸子)


Q:おめでとうございます。フリースタイル5つ目の出場枠を見事獲得しましたね。

井上:ありがとうございます。帰りの飛行機では、興奮してあまり眠れませんでした。

Q:第1ステージ(スロバキア)次は山本選手が出場しましたが、自分がトライアルに出られるという可能性は考えていたのですか?

井上:ゼロではないと思っていましたので、やれることはなんでもやろうと思い、1月から、風邪をひかないように、毎日マスク、ニット帽、加湿器をか欠かしませんでした。可能性を信じていました。

Q:国際大会で優勝は初めてですね。

井上:全日本の代表になったのも初めてです。昔からずっと、もし日本代表になれたらこうしよう、ああしようとイメージしていました。今回は、優勝よりも、出場枠が取れたことのほうがうれしいですが、絶対に金メダルを取ろうと思っていました。日本代表としてプレッシャーがかかったら、自分はどうなるのかも楽しみにしていました。与えてもらったチャンスなので、それをつぶしてしまわないよう頑張りました。1試合1試合が重い1勝だと感じます。

Q:アテネへは全日本選抜選手権での優勝が条件ですね。

井上:みんな強いので、気を抜かないでやりたいと思います。マスクは付け続けます! シドニー五輪のときは、全日本選手権でけがをしてしまい、トライアルにも出場できませんでしたし、その後も辛い時期が続きました。そんな自分に期待し、また見守ってくださったみなさんに感謝して頑張りました。昔はオリンピックは夢だと思っていましたが、より近い目標に変わりました。頑張ります。



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