全日本女子チームがアテネから帰国



 1月23日〜25日にギリシャ・アテネで行われたプレ五輪大会出場とその後の地元チームとの合宿を終え2月2日、全日本女子チームが帰国した。今大会では48kg級の伊調千春(中京女大)と72kg級の浜口京子(ジャパンビバレッジ)が優勝。51kg級の服部担子(中京女大)、59`級の岩間怜那(リプレ)、67`級の斎藤紀江(ジャパンビバレッジ)が3位にそれぞれ入賞を果たした。


 成田空港にはマスコミ各社が出迎えていたが、72kg級優勝の浜口は長旅の疲れも見せずにこやかに対応。プレ五輪への出場を迷っていた浜口だが、自分自身納得のいく戦いができ、なおかつ昨秋のワールドカップで敗れているクリスティン・ノードハゲン(カナダ)、トッカラ・モンゴメリ(米国)というライバル2人にリベンジを果たしての優勝で、すっかり自信をつけたようだ。

 「1回戦からライバルのノードハゲンだったので、負けたら日本に帰れないぞという気持ちでした。チャレンジしないで負けたら悔いが残ると思って、最初から自分のレスリングをしました」と語る浜口。この初戦でフォール勝ちを収め、浜口の快進撃が始まったわけだが、全試合とも終始落ち着いて戦えたことが優勝につながったという。「すべてのことがプラスに作用しましたね。実はこの大会の会場が本番と同じ場所だと知らなかったんです。分かったのは会場に入って5分後ぐらい(笑)。でも逆に興奮しすぎず、落ち着いて会場に入れたので、その方がよかったのかもしれません」

 遠征中は1日1回、携帯電話で日本にいる家族とやり取りをしていたという浜口だが、父の言葉は何よりの励ましになったという。「おまえが一番強いんだから自信を持っていけと言われました。優勝の報告をしたときは『よくやったな』と。後から母に聞いたんですが『今回優勝するのは大変なことだ。オレにはできない、京子だからできたんだ』って言ってくれたみたいです」。

 心の支えになった家族には五輪グッズをお土産買ってきたそうだ。また自らもギリシャ選手から五輪キャラクター「アテナちゃん」のぬいぐるみをプレゼントされ、7か月後の本番まで家族一丸となって“アテネモード”といったところだ。

 プレゼントといえば、今回48kg級として初の国際戦にチャレンジし優勝した伊調千春も地元の人からギリシャ神話に出てくる勝利の女神像の贈り物をもらった。「それと金メダルが自分のお土産ですね。何か一つ勉強できたらという思いでアテネに行きました。勉強できてよかったし、優勝もできたことはとても大きいです」とも。

 だが優勝の喜びに甘んじることなく、今月23〜24日に開催される「ジャパンクイーンズカップ2004」に向けて気を引き締めた。「今回のプレ五輪で、(山本)みゆうさんも(坂本)真喜子も負けているパトリシア・ミランダ(米国)に勝てたし、48kg級で世界に勝てたので、それを自信にしてクイーンズカップで優勝して五輪代表を決めたいです」。

 し烈な国内予選もいよいよ大詰め。再びアテネの地を踏むべく、選手たちは気持ちを新たに成田空港を後にし自宅への帰途についた。(取材・文=松本幸代)



《前ページへ戻る》