【特集】世界の48kg級での試運転が成功した伊調千春



 48kg級として初めての国際大会に挑んだ伊調千春(中京女大)が、同級世界2位のパトリシア・ミランダ(米国)の勝利を含めて4試合に勝ち抜き、アテネで優勝を経験した。

 同じ世界チャンピオンでも、浜口が「優勝」の2文字を念頭において出たのに対し、伊調は48kg級の闘いを体で知る意味あいの方が強かった。ひじのけがも完治してなく痛み止めの注射を打つなどしていたこともあって、大会前は必ずしも優勝にはこだわっていない言葉も出てきた。しかし世界2位の選手を破っての優勝という最高の結果。2kgオーバー計量での大会とはいえ、世界のこの階級でも十分にやっていけるめどが十分についたことだろう。

 準決勝は明らかにミランダより格下のリンドセイ・ベリスル(カナダ)に苦戦するなど内容的にいまひとつの試合もあり、「100%の力は出し切れなかった」とは言うものの、「何かひとつでも勉強することを目標としていた。その目標は達成できた」という。さらに、「世界の48kg級はスピードがある」と実感し、本番までもっと走り込み、スピードある動きを6分間続けられるようにする課題も見つかったという。

 もっとも、2月の「ジャパンクイーンズカップ」に勝ってこその話。「2月に勝たないことには、アテネに来れません。全力で頑張ります」と、視線をいったん国内に戻し、あと約1ヶ月の闘いに全力を尽くす予定だという。(取材・宮崎俊哉)





《前ページへ戻る》