2005年 ルール改正の要点について…審判委員会






 日本協会の審判員会は、12月21〜23日の天皇杯全日本選手権の前日に行われた監督会議で、2005年1月に改正され、その後、微修正されたルールの要点を文書にして配布した。配布文書は下記の通り(原文のまま。pdfファイルは、ここをクリック)。

 なお、現在センターサークルに長方形のラインが書かれ、グレコローマンのグラウンドの攻防の際の双方のポジションの位置が定められているが、今月初めにスウェーデン・ハパランダで行われた「ハパランダ国際大会」では、長方形ではなく、台形がテスト実施されたという。リフト技をかけしやすくするための試行とのことだが、現在までに国際レスリング連盟(FILA)からの通達はなく、全日本選手権は長方形のラインで行われた。


2005年 ルール改正の要点について
審判委員会
1 競技方法について
(1) トーナメント方式で実施し、決勝戦に進出した選手に敗退した選手は敗者復活戦の権利を得る。
3位・5位が2名となる。
6名未満の場合は各順位1名となる。
各階級の試合は1日で終了する。
2 試合時間について
(1) 2分間3ピリオドとし、30秒の休憩を挟む。
(2) 各ピリオドごとに勝者を決定しなければならない。2つのピリオドで勝ったものが勝者となる。
(3) パッシーブは廃止する。しかし消極的な選手に対し、発声により警告し、改善されない場合は『○+1』を与えることができる。
(4) フォールの場合はピリオドに関係なく、試合は終了する。
(5) 同点の場合の勝者決定について
@ 得点の価値(5・3・2・1)
A コーションが少ない選手
B 最終ポイントを取った選手
(6) フリースタイルにおいては各ピリオドが0−0で終了した場合は30秒間の延長をクリンチで始める。
(7) グレコローマンスタイルについては試合時間2分間の内、最初の1分間をスタンドレスリングで開始し、残り1分間をクロスボディロックから始める。
3 クリンチについて(フリースタイル)
(1) 各ピリオドが0−0で終了した場合はコイントスにより優先権を決定する。
(2) 優先権のある選手は足の左右・頭の内外の選択をし、膝の後ろで手を組む。優先権のないレスラーは相手の肩甲骨の上に手のひらを置かなければならない。
(3) 審判は上記の状態を確認後、笛を吹き、スタートさせる。
(4) 30秒以内に先にポイントを獲得した選手が勝者となる。
サドンデスでありフォールは認められない。
(5) 30秒経過時に得点が得れなければ、優先権のある選手に「○」が与えられ、相手選手にテクニカルポイント「1」が与えられる。
(6) 場外へ出た場合、出た選手に「○」が与えられ、相手選手にテクニカルポイント「1」が与えられる。
4 クリンチにおける不正行為について
クリンチにおいて、フライング・手の組み方・手のひらの位置等の不正行為があった場合、試合を止め、不正行為をした選手に注意を与える。同じ選手が2度目の不正行為を行った場合『○』が与えられ、相手にテクニカルポイント『1』が与えられる。ピリオドは終了する。
5 クロスボディロックについて(グレコローマンスタイル)
(1) 1分終了後、0−0の場合コイントスにより優先権を決定する。
(2) 優先権を得た選手は上側よりクロスボディロックで始める。
(3) 1分終了後、ポイントのある場合は上記-(5)を適用し、優先権を決定する。
(4) クロスボディロックから開始後、30秒が経過した時点で、上側と下側が交替する。
(5) 最初の1分間をデンジャーポジションで経過する場合、デンジャーポジションは続行され、フォールまでみる。
フォールが成立しない場合、残り時間は、スタンドから開始され、クロスボディ・ロックは行わない。
(6) クロスボディロックから開始し、デンジャーポジションで30秒が経過した場合、クロスボディロックの交替は行わず、デンジャーポジションは続行され、フォールまでみる。
6 クロスボディロックにおける姿勢について
(1) 下側のレスラーは長方形の角に両手・両膝を置かなければならない。
(2) 上側のレスラーは長方形のライン上に足を置くことは良いがラインの内側に超えてはならない。
(3) 上側のレスラーは手のひらと手のひらで手を組めば有効である。
(4) 上側の選手の足の位置、下側の選手の手、膝の位置は別紙参照。
7 クロスボディロックにおける不正行為について
(1) クロスボディロックにおいて、上側の選手がフライング、手の組み方、足の位置等の不正行為があった場合、試合を止め、一度目は「アテンション」、二度目に不正行為を行った場合、『○』が与えられ、テクニカルポイント『1』が下側の選手に与えられ、スタンドポジションで再開される。
(2) クロスボディロックにおいて、下側の選手がフライング、手足の位置等の不正行為があった場合、試合を止め、一度目は「アテンション」、二度目に不正行為を行った場合、『○』が与えられ、テクニカルポイント『2』が上側の選手に与えられ、再度クロスボディロックから再開される。
(3) クロスボディロックにおいては、上側の選手も下側の選手もお互いに圧力をかけてはいけない。
8 後半の1分間における反則について(グレコローマンスタイル)
(1) クロスボディロックから始まった技術展開の中で起こる下側の選手の反則においては『○』が与えられ、上側の選手にテクニカルポイント『1』or『2』が与えられる。その場合再びクロスボディロックから開始される。
(2) クロスボディロックから始まった技術展開の中で起こる上側の選手の反則においてはスタンドポジションから再開される。
(3) クロスボディロックから始まった技術展開の中でニュートラルポジション(スタンドポジション)で起こる防御側の選手の反則は従来どおりの処置を適用する。(クロスボディロックは採用しない。)
9 得点システムの改正
(1) 5ポイントの技術点を取った選手はそのピリオドの勝者となる。
(2) 3ポイントの技術点を2回取った選手はそのピリオドの勝者となる。
(3) 技術得点の差が6点になった場合もそのピリオドの勝者となる。
(4) スタンディング・ポジションのレスラーが足を場外に出すごとに相手選手へ1点が与えられる。
押し出した場合は「○」とテクニカルポイント「1」が相手に与えられる。
(5) グランドポジッションにおいて手・足等が場外に出た場合はポイントは無しでセンターでスタンドポジションからスタートする。
(6) 5ポイント、3ポイント×2回は各ピリオドのテクニカルフォールとし、勝利した2ピリオドともテクニカルフォールの場合、勝点4が与えられる。
10 その他の改正点
(1) 出血のない負傷による試合の中断には相手に1点が与えられる。
反則等による場合はその限りでない。
(2) 技術回避・場外逃避の処置は『○+1』であるが、スタンドポジションから再開される。
(3) グランドからのリフティングに対する追加ポイントは廃止する。
(4) エスケープポイントは廃止する。
(5) ガッツレンチ・アンクルホールドは連続して行うことができる。
(6) カデットの試合時間は2分×3ピリオドで行う。
(7) 5ポイント、3ポイント×2回、6ポイント差が成立した時点で、いかなる技術展開もありえない。しかし、デンジャーポジションはその限りではない、フォールまでみる。
攻撃側選手が自ら背中をついた場合、その限りではない。
(8) 6人未満の順位決定は第1位のみ勝利数が勝点より優先し、第2位以下は勝点が優先する。



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