【特集】「笑いビクスで、落ち込まないようになった」…女子72kg級・浜口京子



 ▼決勝
浜口京子(ジャパンビバレッジ)○[2−0(1-0,4-0)]●村島文子(中京女大ク)

 《試合経過》

 [1P]浜口が片足へタックルへ行き、回り込んで1点を先取。このあと攻めあぐんだが、反撃も許さず1−0でこのピリオドを取った。

 [2P]浜口がタックルからニアフォールへ追い込み、開始30秒で3−0へ。終盤にも回り込んで1点を取り、4−0として快勝した。

 国内無敵の女子72kg級の浜口京子(ジャパンビバレッジ)は、準決勝(初戦)をフォールで片付けると、決勝でも村島文子(中京女大クラブ)を寄せ付けずに貫録勝ち。これで、グレコローマン82・90kg級で14連覇を達成した森山泰年以来となる10連覇を達成。両スタイルの最優秀選手に贈られる天皇杯も手にし、「優勝するこということよりも10連覇という記録がプレッシャーだった」とほっとした表情を見せた。

 アテネ五輪で銅メダル。満を持して挑んだ今年9月の世界選手権は2位に終わり、今年は世界王座を奪還できなかった。今までなら敗戦を引きずってもおかしくはなかったが、今年は「落ち込んでいる暇はなかった」という。大会の直後から練習を始めたという事情に加え、父・平吾さんが編み出した「笑いビクス」も好影響を与えたようだ。

 平吾さんによれば、ひたすら笑いまくる「笑いビクス」は5月20日に導入。練習の後に必ず笑っているそうで、「今までは気合だ、気合だといっていつも追い込んでいた。父も緩急というか、時には緩める大切さが分かったんだと思う。おかげで私もあまり考え込まず、気分転換ができるようになった」と笑いの効用を実感している。

 70kg級で初めて全日本選手権を制してから10年。体も心も大きくなり、緩急を覚えてまた一つ成長した浜口は「現役でいる限り国内では負けたくない。今は何が何でも北京オリンピックに行きたいです」と笑顔で宣言。08年の北京が楽しみになってきた。

(取材・文=渋谷淳、撮影=矢吹建夫)




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