【特集】「日体大主将として負けられません」…男子フリー60kg級・湯元健一



 ▼決勝
湯元健一(日体大)○[2−0(1-0,3-0)]●高塚紀行(日大)

 《試合経過》

 [1P]湯本が開始15秒、片足タックルでテークダウンを奪い1−0。そのまま高塚の反撃をしのいで、このピリオドを取った。

 [2P]湯本が片足タックルで1点を取り、すぐにローリング。開始30秒で3−0へ。後半の高塚の攻撃を冷静にかわしてバックを取り4−0として勝負を決めた。

 学生選手による壮絶な闘いが予想された男子フリースタイル60kg級は、世界選手権代表の湯元健一(日体大)が決勝で学生王者の高塚紀行(日大)を破り、初の日本一に輝いた。

 世界選手権代表となったといっても、8月の全日本学生選手権で肩を負傷し、同大会を途中棄権。国体、全日本大学選手権でも優勝できず、やや調子を落としていた。初優勝の感激とともに「ホッとしました」という言葉に実感がこもる。

 国体と全日本大学選手権は、アジアジュニア王者の大沢茂樹(山梨学院大)に敗れて優勝を逃していた。その大沢がこの大会では初戦敗退。リベンジを狙っていた湯元の気が抜けた面があったとも思われたが、「大沢を破った選手が勝ち上がってくるわけです。そんなに意識しなかったです」と言う。

 初優勝の最大のエネルギーは、日体大の主将に推され、伝統を引き継ぐべき頑張る立場になったこと。「負けられないですよ」と言う。

 アテネ五輪では日本代表選手(井上謙二)が銅メダルを取った階級。そのポストを受け継ぎ、湯元も世界選手権では肩の負傷にもかかわらずアテネ五輪王者と互角近くに闘った。世界の中でもかなり上の位置にいることは間違いない。「世界選手権ではメダルを取りたい。北京オリンピックへ出場したい」。06年はあらためて世界の壁に挑む年になる。

(撮影=矢吹建夫)




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