【特集】「1日1日の積み重ねが試合に出た」…女子59kg級・山本聖子



 ▼決勝
山本聖子(ジャパンビバレッジ)○[2−0(3-0,@Last-1)]●正田絢子(ジャパンビバレッジ)

 ※山本は4年ぶり3度目の優勝。

 《試合経過》

 [1P]1点をめぐる攻防は、山本がラスト30秒、タックルから飛行機投げ気味に返して3点を獲得。そのままのスコアでこのピリオドを取った。

 [2P]前半、山本が自滅気味に崩れ、正田が1点を先制。終盤、ポイントを取りに行った正田だが、ひざを取られてバックを許して1点を失い、1−1のラストポイントで山本の手が上がった。

 激戦が予想された59kg級で決勝に進んだのは、世界V4の山本聖子(ジャパンビバレッジ)と今年の世界選手権の覇者・正田絢子(ジャパンビバレッジ)。山本が同僚対決を制して4年ぶり3度目の優勝を飾った。

 正田は準決勝で新鋭の西牧未央(愛知・至学館高)を相手に残り4秒までリードを許すなど、この日の出来は今ひとつの印象。対する山本はけがの影響を感じさせない軽快な動きを披露し、準決勝で優勝候補の一角、岩間怜那(ALSOK綜合警備保障)を退けて決勝にコマを進めた。

 決勝は両者の勝ち上がり内容がそのままパフォーマンスとなってあらわれた。山本は第1ピリオドにタックルからの投げで3ポイント。第2ピリオドには投げを失敗して1ポイント先取されるが、グラウンドの攻防をしのぎ、残り10秒でバックを取って優勝を手中に引き寄せた。

 山本は手術したひざを3月のジャパンクイーンズカップで再び痛め、夏場はリハビリに明け暮れた。マットでの本格的な練習を再開したのは9月半ば。けがを乗り越えた元女王は「復活とかそういう言葉にはこだわっていない。1日1日積み重ねてきたことが試合に出て良かったと思う」とうれしそうに話した。

 いずれは、アテネ五輪前と同じように55kg級に落としてオリンピックを目指す予定。北京五輪への抱負を問われると、「1年1年ゆっくり進んでいきたい」。着実に力を蓄え、悲願の五輪につなげる考えだ。

(取材・文=渋谷淳、撮影=矢吹建夫)




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