【特集】世界の現実を痛感し、これからの飛躍へ…女子67kg級・坂本襟





 初めての世界選手権を7位で終えた女子67kgの坂本襟(ワァークスジャパン)は気丈に言葉をつないだ。「自分の気持ちが弱かったということ。これで終わりにはしたくない」

 1試合目はモロッコ選手相手にフォール勝ちを収めたが、2回戦のマーティン・ダグレニール(カナダ)戦では、第1ピリオドにバックを取って1ポイントを獲得するものの、その後を攻め切れなかった。第2ピリオドには相手のローリングが決まり失点。バックを取りポイントを返したが、追いつかなかった。

 「これが世界の舞台での現実なんだと思った。挑戦するつもりで強気にいきました。やらずに後悔するよりも、やって後悔した方がいい。相手の気持ちの方が強かったんだと思う」

 そのダグレイナーが善戦して決勝へ進出。午後のセッションでは敗者復活戦の道がめぐってきたが、ケイティ・ドウソン(米国)相手に、第2ピリオド、消極的姿勢でコーションを取られ、そのまま0−1。第3ピリオドはタックルを狙うがつぶされ、ピリオドスコア1−2で破れた。

 「前に出ようと思ったけれども難しかった。負けたあとの試合は調子の持っていき方が難しい」

 大会前から「前に出るレスリングがしたい」と話していたが、初めての世界舞台なだけに、栄和人監督は「もしかしたら緊張感があったのかもしれない」と振り返る。

 全日程を終えた女子チームはマットの上で記念撮影をした。坂本の首にだけメダルはなかったが、世界の舞台を踏んだ経験は確実に胸に刻まれている。

(取材・文=三好えみ子)


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