【特集】「応援席の姉から勇気をもらいました」…伊調馨・一問一答
(表彰式直後の組織委員会オフィシャル・インタビュー)
――オリンピックを含めて4度目の世界一。今の気持ちは?
伊調 そういうことより、千春のために何かができたということがうれしい。
――姉が来てから、どんなことを話しましたか?
伊調 くだらない話が多くて。「いつも通りにやれば絶対に勝てるから、頑張れ」と言われました。
――1回戦のサラ・マクマン(米国)戦がヤマでしたか?
伊調 そうですね。集中して闘いました。勝つことができて気が楽になりましたが、最後が中国で、もう1度集中してやりました。中国はメン・リリの方が強かったですよ。
――オリンピック・チャンピオンとして臨む初めての世界選手権。プレッシャーは?
伊調 研究されていますね。入りにくくなっています。ワンチャンスをものにできるタックルを身につけることが大事だと、あらためて思いました。
――北京五輪へ向けて一言。
伊調 二連覇できるように頑張ります。
(ドーピング検査終了後)
――3度目、オリンピックを入れて4度目の世界一の今の気持ちは?
伊調 すっきりしています。
――今までの世界一とは違う気持ち。
伊調 そうですね、2005年の世界選手権が終わった、とすっきりしています。
――オリンピック・チャンピオンとして臨む世界選手権へのプレッシャーは?
伊調 目に見えない部分であったのかな、と思います。そういうプレッシャーを感じないようにとは思っていましたが、感じるところもありました。でも、そのプレッシャーをばねにして、というかエネルギーにして頑張りました。
――2年連続(03年世界選手権・アテネ五輪)で決勝で闘ったマクマンと1回戦でぶつかって、勝った段階で優勝という気持ち?
伊調 いえ、次の試合からも集中し直しました。決勝は中国でしたし、負けたら、北京オリンピックへ向けて調子に乗るだろうと思ったので、気合を入れてやりました。
――67kg級のアジア・チャンピオンでしたが。
伊調 減量しているからでしょうか、細かったですね。力、動き、タックルの崩し方など、総合的にメン・リリ(アジア選手権で対戦=01年世界チャンピオン)の方が上という気がしました。
――では、第1ピリオドを終わった段階で、勝てるという気持ちに?
伊調 そうですね。ポイントを取られる心配は感じませんでした。取りにいって、取ったら勝てると思いました。
――前の試合で吉田選手が勝って、自分も負けられないという気持ちは?
伊調 沙保里さんは目標とする選手。55kg級が終わって63kg級の試合ということが多かった。勇気をもらって闘いました。
――姉からもらったしょう油ラーメンは?
伊調 きょうの午後、食べましたよ。姉の声は透き通っていい声なので、よく聞こえました。兄の声も、浜口さんのお母さんの声とか、日本語はみんな聞こえました。
――試合中に?
伊調 試合中も試合前も。
――姉のいない世界選手権は初めてですが。
伊調 会場にもいなかったら不安になったと思う。でも応援席にいてくれたので、こころ強かったし、姉のために闘うことができた。勇気をもらいました。
――技術面を振り返ってください。
伊調 スロースターターと言われているので、とにかく第1ピリオドを取ろうとしました。
――でも、初戦のマクマン戦で開始直後にバーンと3点タックルを決めましたよね。
伊調 偶然ですよ。高田専務理事からは「あれは1点じゃないか?」って言われましたし。でも、「先に行こう」という気持ちがあったからだと思います。