吉田沙保里、正田絢子、伊調馨が金メダル…世界選手権第4日午後




 ブダペスト・スポーツ・アリーナに君が代が3度鳴り響いた−。2005年世界選手権第4日は9月29日、ハンガリー・ブダペストのブダペスト・スポーツ・アリーナで女子3階級の決勝までが行なわれ、55kg級の吉田沙保里(ALSOK綜合警備保障)、59kg級の正田絢子(ジャパンビバレッジ)、63kg級の伊調馨(中京女大)の3選手がいずれも金メダルを獲得した。

 55kg級の吉田は、3回戦でモルドバ選手に勝ったあと、準決勝でアテネ五輪決勝の相手のトーニャ・バービック(カナダ)を2−0で下した。決勝は04年59kg級アジア・チャンピオンの蘇麗慧(ス・リフイ=中国)を2−0の判定で破った。63kg級の伊調馨(中京女大)も3回戦、準決勝と順調に勝ち上がり、決勝で67kg級アジア・チャンピオンの景瑞雪(ジン・ルイシュ=中国)を2−0の判定で撃破した。

 2人とも02・03年世界選手権に続いて3度目の優勝。アテネ五輪を含めると4年連続4度目の優勝。世界選手権と五輪を合わせた4度の優勝は、日本では浦野弥生、吉村祥子(以上通算6度優勝)、浜口京子(通算5度優勝)、山本聖子(通算4度優勝)に続く記録。世界では歴代12位タイとなる。4年連続の世界一は、93〜96年に浦野弥生がマークした記録に並んだ。

 吉田は今大会で5勝をマークし、国際大会での成績を22大会連続優勝の93連勝に伸ばした。

 59kg級の正田は3回戦、準決勝を勝ったあと、決勝で地元のマリアン・サスティン(ハンガリー)に 。1999年に62kg級で優勝して以来、6年ぶり2度目の世界一に輝いた。

 各選手の成績は下記の通り。(撮影=矢吹建夫)


 ◎女 子

 【55kg級】吉田沙保里(ALSOK綜合警備保障)      優勝=24選手出場


3回戦 ○[2−0(4-0,2-0)] Ludmila Cristea(モルドバ)

 《試合経過》

 【1P】吉田はフェイントを決めて横に組みつき、開始20秒でテークダウンを奪う。その後も3度、タックルを決めて4−0とした。

 【2P】正面タックルから片足タックルに変えて粘り強く攻めた吉田が1点を先制。くぐりのタックルで2点目を挙げた。後半のタックルは2度、受け止められてしまったが、反撃を許さず2−0で勝った。

準決勝 ○[2−0(3-0,1-0)] Tonya Verbeek(カナダ)

 《試合経過》

 【1P】タックルから場外へ出して吉田が1点を先制。中盤、相手の片足タックルを返して1点を加え、ラスト15秒、タックルで場外へ出して3−0とした。

 【2P】吉田の片足タックルはこらえられたものの、しつこく攻めて最後に1点を取った。相手の必死の攻撃をかわし、1−0で終了のホイッスル。

決 勝 ○[2−0(3-0,3-0)] Su Lihui(中国)

 《試合経過》

 【1P】開始直後に豪快なタックルを決めた吉田。惜しくも1点となったが、試合の主導権を取り、片足タックルで1点、もつれながらもバックを取って3−0として、このピリオドを取った。

 【2P】一進一退の攻防が続いたあと、もつれたところを吉田が投げを打ち、相手を転がして2点。ラスト30秒、片足をとって尻もちをつかせ、3−0として振り切った。


 【59kg級】正田絢子(ジャパンビバレッジ)      優勝=24選手出場


3回戦 ○[2−0(1-0,1-0)] Lene Aanes(ノルウェー)

 《試合経過》

 【1P】左を差して組み合った正田。なかなか突破口を見い出せなかったが、崩してバックを取り、1−0としてこのピリオドを取った。

 【2P】腕を取り合って同じ方向をむいてもつれた両者。正田が粘り勝って開始30秒に1点を取った。中盤も同じような体勢となり、正田がピンチの体勢もあったが辛うじて逃げ、残り18秒を守り切って。

準決勝 ○[フォール1P0:36(F0:36=4-0)] Ida-Theres Karlsson(スウェーデン)

 《試合経過》

 【1P】開始から10秒後、正田が相手のふところにもぐり込み、飛行機投げのように投げてニアフォールへ。そのままフォールを奪った。

決 勝 ○[2−0(4-0、TF6-0=1:21)] Marian Sastin(ハンガリー)

 《試合経過》

 【1P】正田はこの大会で連発している相手の懐にもぐっての飛行機投げで3点を先制。冷静に試合を進め、ラスト30秒に回り込んで1点を取り、ダメ押した。

 【2P】がぶられながらも、再び飛行機投げで返して3点を奪い、そのままニアフォールへ。フォールは決められなかったものの、ローリングで2点を加え、6−0とした。


 【63kg級】伊調馨(中京女大)     優勝=24選手出場


3回戦 ○[2−0(3-0,3-0)] Helena Allandi(スウェーデン)

 《試合経過》

 【1P】正面タックルで1点を取った伊調が、その後、2度バックを奪い3−0とした。

 【2P】伊調が片足をとって一気にニアフォールへ追い込み2点を獲得。ラスト25秒、バックを取って3−0とした。

準決勝 ○[2−0(3-0,3-0)] Anna Polovneva(ロシア)

 《試合経過》

 【1P】がぶりからバックを取って先制した伊調。片足タックルのあと、もう1度がぶってバックを取り、3−0とした。

 【2P】このピリオドも相手の攻撃を冷静に見てバックを取ること3度、3−0として勝った。

決 勝 ○[2−0(3-0,1-0)] Jing Ruixue(蘇麗慧=中国)

 《試合経過》

 【1P】お互いに決定力に欠いたが、伊調は相手の片足を取ると、しっかりと持ち上げ、反対側の脚を刈って背中からマットへ落として3点を獲得。残り30秒をしのいでこのピリオドを取った。

 【2P】第1ピリオドと同じくなかなかポイントが取れなかったが、1分20秒すぎ、伊調が相手の左足を取ってテークダウンを奪い1−0。残り25秒を守り、終了のホイッスルを聞いた。




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