【特集】「タックルをもっと磨けば、世界で通じる!」…男子フリー96kg級・小平清貴





 小平清貴(警視庁)よ、お前もか−。

 初日60kg級の湯元健一(日体大)に続き、日本フリースタイル重量級復権をかけて挑んだ男子フリースタイル96kg級の小平が抽選で引き当てた初戦の相手もアテネ五輪金メダリストだった。

 「やっちゃった、と思いましたね。気持ちを入れ換えて試合に臨みましたが…」

 王者カジムラド・ガチャロフ(ロシア)に対し果敢にタックルをしかけるも、第1ピリオド、片足をかつがれバックポイントを失い、さらにゾーン際の攻防でバックを取られ0−2。続く第2ピリオドでは、豪快な5ポイントのバック投げを決められテクニカルフォール負けを喫した。

 試合後、「オリンピック・チャンピオンは強かったです。でも、思っていたより差は感じませんでした。自分の武器であるタックルをもっと磨けば、勝負になると思います。もっと深く入ること、そしてタックルに入ったあとの処理が課題です」と自ら分析。その課題が、敗者復活1回戦でも勝敗を分ける結果となった。

 第1ピリオド開始10秒、小平は得意のひっかけからの片足タックルでゲルゲリー・キシュ(ハンガリー)を場外に押し出して1ポイントを奪ったものの、マット際グランドでのせめぎ合いから体を回され場外へ。1−1ながらラスト・ポイントのルールでこのピリオド失い、第2ピリオドはタックルからのチャンスを3度つぶされ1−3で敗れた。

 「あんな試合をしていたら、話にならない。せっかく世界選手権に連れてきていただいたのに、情けないです。ウエイトトレーニングではなく、スパーリングを重ねてもっとレスリング力をつけ、ゼロから出直します」

 「あまりに緊張して、何も覚えていなかった」という世界選手権初出場の01年から4年。ベテランの域に達してきた小平は冷静に戦うことができたものの、今回も結果を残すことはできず、悔しさを胸にブタペスト・アリーナのマットをあとにした。   

(取材・文=宮崎俊哉)


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