フリースタイルのクリンチのルール改正を巡り、世界のレスリング界が混乱?





 フリースタイルのクリンチのルールが改正されたという情報が米国レスリング協会のオフィシャルホームページ(HP)に掲載されているが、国際レスリング連盟(FILA)は、名指しこそしていないものの、この情報を否定。世界のレスリング界に混乱が起きている。

 米国レスリング協会は9月13日(日本時間14日)、公式ホームページ上で、「FILAが発表した」という表現で、フリースタイルのクリンチのルール改正を掲載した。新ルールは、クリンチは1試合に1度のみの実施となり、第1ピリオドがクリンチで決着した場合、以後のピリオドは、0−0で試合が終わることのないように、審判が消極的なファイトをしている選手に必ずコーション(警告)を課すことが義務付けられる、というもの。第1ピリオドが普通に終わり、第2ピリオドがクリンチで決着した場合なども、第3ピリオドに同様のルールが適用される。

 しかし、日本協会にはいかなる連絡もなく、FILAのオフィシャルHP上にもルール改正の公示はなかった。記事が掲載された14日には、日本協会がFILAの事務局へ電話で問い合わせ、「そのような事実はない」という回答を得た。15日、FILAは公式HP上で、「5月30日公布のグレコローマンのクリンチのルール改正以外、いかなる修正もしていない。他の情報は間違いである」と公示した。従って、現段階ではフリースタイルのルール改正はありえないこととなる。

 とはいえ、米国HPではナショナルチームのケビン・ジャクソン・コーチの談話も掲載してあり、米国協会はかなりの裏づけをもって掲載しているものと思われる。

 今春、グレコローマンのクリンチのルールが改正された時、4月下旬のパンアメリカン選手権と5月上旬のアフリカ選手権でいち早く実施されながら、FILAのHP上での公示はなく、日本協会への連絡もなかった。5月24日からのアジア選手権(中国・武漢)の前日に実施されたテクニカル・ミーティングの場で、イラン以外のすべての参加国がFILAの審判長でもあるマリオ・サレトニグ副会長(米国)から初めてクリンチ廃止のルール改正を聞いており(イランのみ、なぜかこのルール改正を知っていた)、そのアジア選手権の後にFILAのHP上に掲載されている。

 FILAはこれまでにも、十分な論議や通達をすることなく突然にルール改正を実施してきたことがある。今回、このルール改正を掲載しているのが、マリオ・サレトニグ副会長のいる米国のHPということが気にかかるところ。いずれにせよ、世界選手権までにはっきりとしてもらわなければ、現場が混乱するだけである。

 日本協会では、正しい情報を求めてFILAなどに問い合わせを続ける。



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