全日本グレコローマン・チームがポーランドから帰国




 8月3日からポーランドへ合宿と大会参加で遠征していた男子グレコローマンの全日本チームが8月23日、ロンドン経由で帰国した。合宿は7か国が参加。すべての国がベストメンバーというわけではなかったが、最近の世界チャンピオンもいたかなりハイレベルのメンバーが集まり、重量級にも選手が多くいて、伊藤広道コーチ(自衛隊)は「日本で練習するよりいい練習ができた」と、嘉戸洋コーチ(日本協会専任コーチ)は「外国選手相手の新ルールを体で学ぶうえでいい経験になった」と、それぞれ振り返った。
(写真=成田空港で遠征最後のミーティングを行なうチーム)

 20か国から約200選手が参加したピトライスニスキ国際大会は、5月下旬から実施された新ルール下での戦いを試す実質的に初めての機会(注・アジア選手権は現地へ行ってからルール変更を知らされ、練習なしで臨んだ)。どの選手も俵返しの防御はかなりできていて、練習の成果が出ていたそうだが、ローリングなどの技でポイントを取られて負けるケースが多かったという。“本丸”を守ろうとするあまり“周辺の警備”がおろそかになったわけではないだろうが、このあたりが新たな課題だという。

 パーテールポジションでの試合再開の際のタイミングについての勉強にもなったという。「こうしたことは試合をやってみないと分からない。世界選手権前に実戦を経験できてよかった」(嘉戸コーチ)と、実りある遠征になったようだ。

 伊藤コーチは、以前のクリンチのルールより、現在のルールの方が「実力が出やすい。練習のやりがいが見い出せる」と振り返る。クリンチのルールでは、コイントスで負けて不利な組み手をしいられた時はいかんともしがたかったが、今のルールではコイントスで負けて先に防御をしいられても、それを耐えて自分の攻撃権へつなげれば勝つチャンスは出てくると分析。「練習するべき点がしっかり分かる」と、各選手に自分の弱点を見い出し、徹底的に強化することを臨んだ。

 現地では、合宿地から試合地までバスで5時間をかけて移動。大会翌日も午前3時に合宿地を出発しワルシャワ空港まで7時間をかけて移動するなど、成田空港へ到着した選手の中にはかなり疲れた表情をしていた選手もいたが、伊藤コーチは「これも経験。もう慣れたよ」と涼しい顔。ヨーロッパでは冬の間、バスで何都市もまわって大会出場をこなすことがごく当たりまえに行なわれており、こうしたハードスケジュールの中で心身ともにたくましさを増していくそうで、これも貴重な経験になったようだ。

 グレコローマン・チームはこの後、9月9〜15日に東京・国立スポーツ科学センターで最終合宿をし、世界選手権へ臨む。


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