笹本睦がA・ナザリアン(ブルガリア)を破り2位…ピトライスニスキ国際大会第1日





 世界選手権(9月26日〜10月2日、ハンガリー・ブダペスト)前のグレコローマンの最後の大きな国際大会「ピトライスニスキ国際大会」は8月20日、ポーランド南方の農業都市ラチブージュ市で28か国から約200選手が参加して4階級が行われ、同国誠意へ遠征中だったグレコローマンの全日本チームでは、60kg級でアテネ五輪5位の笹本睦(ALSOK綜合警備保障)がアトランタ・シドニー両五輪優勝のアルメン・ナザリアン(ブルガリア)を1回戦で破るなどし準優勝した。

 笹本は昨年のアテネ五輪でのナザリアン戦で、審判の誤審によって負けにされており、今回その雪辱を果たした。決勝はアレクセイ・シェフストフ(ロシア)に対して第1ピリオドを先取。第2ピリオド、ラストポイントによる勝利を目前としたものの、ラスト3秒でローリングで返されて、ピリオドスコア1−1へ。第3ピリオドも逆転負けし優勝を逃した。

 他の階級は、いずれも予備戦で勝ったものの、続く1回戦で敗れ、敗者復活戦に回ることができなかった。

 各階級の成績は下記の通り。(取材・文=ビル・メイ、チェコ・プラハ在住)


 【60kg級】笹本睦(ALSOK綜合警備保障)    2位=27選手出場

▼予備戦 ○[フォール2P0:57(2-1,F4-0=0:57)] Joaquin Martinez(スペイン)

 《1P》場外へ出てしまって1点を先制された笹本だが、パーテールポジションを守って1−1。攻撃の時、バース・グリップからがぶりを取って返して、このピリオドを先取。

 《2P》笹本ががぶりから相手を返し、そのままフォール。
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▼1回戦 ○[2−1(3-2,0-4,2-1)] Armen Nazarian(ブルガリア)

 《1P》0−0のあと、笹本がNazarianの俵返しを2度、うまくカットして守り切り1−0へ。笹本の攻撃となり、ローリングでまわし2点を取ったが、Nazarianに上になられ2点を失った。しかしラスト10秒を守って3−2で先取。

 《2P》笹本の巻き込み一本背負い投げ2度やったが決まらず0−0。笹本が先に攻撃したが、返えすことができすに0−1。笹本は防御でしっかり守ったものの、俵返しの体勢から頭の方に返され、0−4とされた。

 《3P》Nazarianが少しバテ気味。0−0のあと、パーテールポジションになって防御側の笹本がNazarianのグリップをすぐ切って30秒を守り1−0。笹本は攻撃のチャンスでリフトしたが、返えせなかった。それでも2−0とリード。しかし、Nazarianがゴービハインドで2−1。このあと、必死に守り、笹本がガッツ・ポーズ。
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▼2回戦 ○[2−0(TF6-0=2:00、TF6-0=1:08)] Jurij Kohl(ドイツ)

 《1P》スタンド戦の1分が終了する直前、笹本が一本背負いを決めて3−0。俵返しの体勢を逆に返して5−0とし、さらに1点を加えた。

 《2P》場外へ押し出して1点を先制した笹本は一本背負いで4−0へ。パーテールポジションの攻撃へ入ると、すぐにがぶりから返し、2ピリオド連続のテクニカルフォール勝ち。
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▼準決勝 ○[2−0(ACaution-2,2-0)] Suren Hervorkyan(ウクライナ)

 《1P》0−0のあとパーテールポジション。笹本は2002年欧州2位のHervorkyanに上げられ0−2。しかし攻撃側になった時、Hervorkyanが正しいポジションを取らずに2点のペナルティ。同点でピリオドが終わり、コーションがある関係で、笹本がこのピリオドを取った。

 《2P》0−0のあと、笹本がパーテールポジションの攻撃。リフトを仕掛けたものの、Hervorkyanが脚をかけてペナルティで2−0。笹本は防御で30秒を守り切り、決勝へ進んだ。
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▼決勝 ●[1−2(2-0,0-3,3-4)] Alexei Shevtsov(ロシア)

 《1P》0−0のあと、グラウンドの攻撃権を得た笹本がリフトして1−0。防御にまわり、Shevtsovのリフトを2度切ってこのピリオドを先取。

 《2P》0−0のあと、笹本の攻撃権ではポイントがなく0−1。そして、笹本は防御にまわってしっかりこらえ、ラスト・ポイントによる勝利を目前にしたものの、ラスト3秒、手を取られ、ローリングのグリップで返されて痛恨の2失点。

 《3P》笹本がスタンド戦で胴タックルを取り、ガッツレンチを決めて3−0とリード。優勝を近づけたが、パーテールポジションの攻撃で得点を取れず3−1へ。笹本が下となり、ホイッスルで一気に逃げたものの、Shevtsovが攻めて、がぶりを取ってスタンドから倒して、3−4と逆転されてしまった。最後に笹本がゴービハインドで1ポイントを取ったと思ったが、審判が脚を使ったと判断し、同点のポイントにはならなかった。惜しまれる敗戦だった


 【66kg級】飯室雅規(自衛隊)    30選手出場

▼予備戦 ○[2−0(4-2,@Last-1)] Lucjan Kwit(ポーランド)

 《1P》0−0から飯室が先に攻撃。リフトを上げて、頭の方向に返したが、相手が上になって3−2。しかし防御を守り切って4−2でこのピリオドを先取。

 《2P》0−0から飯室が先に攻撃。返えすことができなかったが、飯室もしっかりと守り、1−1でラスト・ポイントによって勝利を手にした。
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▼1回戦 ●[0−2(0-3,TF0-7=1:27)] Sergey Kuntarev(ロシア)

 《1P》0−0のあと、飯室がパーテールポジションの防御で耐えたものの、ラスト5秒に返され0−2。攻撃側になった飯室は元ロシア代表メンバーを返すことができず、先取された。

 《2P》場外へ押し出されて0−1となった飯室。パーテールポジションの防御では、Kuntarevがクラッチを組んで繰り返し仕掛けてきたローリングを防げず、テクニカルフォールで敗れた。

  ※Kuntarevが準決勝戦で2002年世界チャンピオンのJimmy Samuelsson(スエーデン))に敗れ、飯室は敗者復活戦に回れず。


 【74kg級】岩崎裕樹(銀水荘)     28選手出場

▼予備戦 ○[2−1(TF6-0=1:29,2-4,2-1)] Waclaw Siorak(ポーランド)

 《1P》岩崎が胴タックルで1−0。パーテールポジションの攻撃でリフトを決めて4−0。腕を引っ張って2点を加えテクニカルフォール。

 《2P》岩崎が2−1とリードしたものの、ポーランド・ジュニア王者のパーテールポジションでリフトされ、逆転負け。

 《3P》腕取りからバック回り、送り出して岩崎が1点を先制。パーテールポジションの攻撃は返せず1−1。防御ではしつこいディフェンスを見せ、守り切って2−1の勝利。
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▼1回戦 ●[1−2(2-1,1-@Last,0-2)] Bolat Abdulayev(ウクライナ)

 《1P》岩崎は場外に押し出され、1点のリードを許した。しかしパーテールポジションの防御でしっかり守って1−1の同点。攻撃にまわり、リフトして2−1と先取。 

 《2P》0−0のあとパーテールポジションの勝負。防御側の岩崎が守って1−0。しかし、攻撃側になってもポイントが取れず、1−1のラスト・ポイントでこのピリオド落とした。

 《3P》0−0のあと、パーテールポジション。岩崎はリフトで1点を取られ、攻撃の時はスイッチされ、0−2でこのピリオドを落とした。

  ※Abdulayevが2回戦で同じウクライナ代表で一昨年欧州2位のVassili Rachibaに負けて、岩崎は敗者復活戦へ回れなかった。


 【84kg級】松本慎吾(一宮運輸)    26選手出場

▼予備戦 ○[2−0(5-1,5-1)] Jim Petterson(スウェーデン)

 《1P》0−0からパーテールポジションの勝負へ。攻撃の松本は相手のペナルティで2−0。それから返して4−0へ。防御では、松本がリフトされかかったものの上になり、5−1としてこのピリオドを先取。

 《2P》再び0−0からのグラウンド勝負。松本が先に攻め、俵返しの体勢から逆の方向に返して2−0。リフトを上げて5−0へ。防御ではリフトされたものの、返されずに5−1として勝った。
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▼1回戦 ●[0−2(0-2,4-5)] Melonin Noumonui(フランス)

 《1P》0−0のあと、パーテールポジションは松本が先に攻撃となったが、返すことができずに0−1。防御となり、守り切ればラスト・ポイントで勝てたが、ラスト2秒でローリングされて、0−2で落とした。

 《2P》0−0のあと、パーテールポジションで攻撃となった相手がグリップを握らず、ペナルティで松本が2点のリードをもらった。しかし、スタンドから胴タックルとローリングを決められ、一気に2−3と逆転された。松本は攻撃のチャンスを生かせず、4−5で敗れた。

  ※Noumonuiが準決勝で負け、松本は敗者復活戦に回れなかった。



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