ユニバーシアード選手団が帰国


     



 8月13〜17日までトルコ・イズミールで行なわれていたユニバーシアードのレスリング選手団が19日、帰国した。早いフライトで成田空港に到着した女子チームは、ジャパンビバレッジの種村光伸・執行役員が花束を持って同社所属で金メダル獲得の正田絢子選手(59kg級)を、全日本女子チームの監督を務めたこともある船津薫さんが次女で48kg級銀メダリストの友里選手をそれぞれで迎えた。

 金4個獲得に栄和人コーチ(中京女大職)の表情も明るく、「オリンピックのチャンピオン(イリナ・メルニク=51kg級)ほか強豪が多く出てきた中で、この成績。よくやったと思う」と、選手たちの激闘をねぎらったが、「課題も多く見つかったよ」と反省も忘れない。

 栄ヘッドコーチ、木名瀬重夫コーチ(日本協会専任コーチ)、金メダルを取った吉田沙保里選手(55kg級=ALSOK綜合警備保障)と伊調馨選手(63kg級=中京女大)の4人は、静岡・稲取で行なわれている女子の中高校生合宿へ向かった。

 男子チームは女子から約1時間半遅いフライトで成田空港へ到着。両スタイル合わせて銅メダル1個という結果に、滝山将剛監督(国士大教)は「ひ弱さがあった、接戦しても勝ちにつなげられない。いい技を持っていても勝負にいけない精神的なもろさがあった」と厳しい表情で、「自分の技に自信を持つことと、何が何でもポイントを取る気持ちを持ってほしい」と注文した。フリースタイルの佐藤満コーチ(専大教)は「内容は決して悪くない。あと一歩の差で、それを埋めるためにいっそう頑張らせ、経験を積ませたい」と、今後の強化の指針を示した。

 滝山監督は、グレコローマンのパーテールポジションでは「審判との駆け引きも重要になる」と報告。リフトしてからレフェリーがホイッスルを吹くことなどがごく当りまえに行なわれており、「レフェリーの目をごまかして有利な体勢で試合を再開するかが重要な要素になっている。この駆け引きを学ばなければならない」と、世界選手権へ向けてアドバイスを送っていた。


 女子55kg級金メダル・吉田沙保里選手の話「決勝の相手のバービック(カナダ)はアテネ・オリンピックの決勝の相手ですし、7月下旬にカナダ・チームのメンバーとして中京女大の練習に参加して何度も練習した相手。お互いに手に内を知っているので、やりずらかったです。きん差でもいいから勝つことにこだわりました。決勝以外の2試合はきつい試合ではなかたです。でも世界選手権では、ティナ・ジョージ(米国)、ナタリア・ゴルツ(ロシア)と気を抜けない相手がいます。連勝記録を続けることを目標に頑張りたいと思います」

 
女子59kg級金メダル・正田絢子選手の話「アテネ・オリンピックに出ることができなかった分、学生のオリンピックであるこの大会に出場できて優勝できたことはうれしいことです。でも、ポイントをリードしていて、最後にポイントを返されたりして、反省点や課題は多く見つかりました。最後まで油断してはならないと思います。海外遠征で59kgリミットに落としたのはこれが初めてですが(注・5月のワールドカップは規定により2kgオーバーの61kgで計量)、まあまあ順調に落ちてくれました。このまま世界選手権まで頑張りたいと思います」

 
女子63kg級金メダル・伊調馨選手の話「食べ物が合わずに体重が減り、コンディションはよくなかったです。冷や冷やした試合ばかりで、課題が多く見つかり、いい勉強になりました。外国の選手はタックルに入りやすいけど、返すのがうまいので、怖いところがありました。決勝は新ルールになって初めて第3ピリオドまでいきました。第3ピリオドを戦うのは緊張しますね。第2ピリオドで終わるようにした。そうすれば4分間で終わり、体力的にいいですし。世界選手権へ向けていい勉強になりました」

 
女子67kg級金メダル・新海真美選手の話「アジア・ジュニア選手権、世界ジュニア選手権に続いての優勝ですけど、総合大会の優勝ということで、気持ちは全然違いますね。出発前に日本選手団としての結団式があって、責任感も違いました。世界ジュニア選手権の優勝の時にも感じたことですが、日ごろ、国内で世界トップの人たちと練習していますから、世界へ出ても勝てるのだと思います。次の目標は、(坂本)襟先輩に勝って国内の大会で優勝することです。国内のタイトルを取るほうが難しいいんですよ」

 
男子フリースタイル・池松和彦選手(世界選手権代表)の話「ヒザにばい菌が入って2週間近く練習できなかったので、コンディションはよくなく、体力が続かなかった。世界選手権は万全の状態で臨みたい。(1回戦で負けたため)他国の強豪の試合をじっくり見たが、みんな気持ちが強いことが分かった。気持ちを強く持っているから、体力の強さが表に出てくる。まず気持ちです」

 
男子グレコローマン銅メダル・鶴巻宰選手の話「当たって砕けろ、の気持ちがよかったのかな。明治乳業杯で負けて新ルールに不安があったけど、そのあとリフトの反復練習をしっかりやったのがあたったのかも。世界選手権の代表になれずにちょっと落ち込んだけど、少し自信が戻ってきた。この勢いで世界選手権にも出たかったですね。ことしはアジア選手権3位、ユニバーシアード3位ですから、来年は世界選手権のメダルです」




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