松永共広が五輪V2王者を破って優勝…ジオルコウスキ国際大会




 フリースタイルの「ジオコフスキー国際大会」は8月13〜14日、ポーランド東中央の農業地域にあるシェドルツェ市で行われ、日本からは同国へ遠征していた世界選手権代表3選手が出場。55kg級の松永共広(ALSOK綜合警備保障)が優勝、74kg級の小幡邦彦(同)が銅メダルを獲得した。

 大会は20か国から107人のトップ選手が参加。オリンピック、世界チャンピオンも多く参加し、この大会の歴史上でもレベルが高い大会となり、来月の世界選手権(ハンガリー・ブダペスト)の動向を占う大会ともなった。

 この中で、松永は初戦で1996年アトランタ五輪(52kg級)と2000年シドニー五輪(54kg級)の金メダリストのナミク・アブデュラエフ(アゼルバイジャン)を破り、決勝では今年の欧州王者ゲンナディ・チュルビア(モルドバ)を破って優勝した。今年2月のヤシャドク国際大会(トルコ)、3月のダン・コロフ国際大会(ブルガリア)に続いて、今年の3個目の優勝。

 小幡はしかし、準決勝でウクライナ選手の固いディフェンスを崩せず黒星。決勝で五輪2度優勝のブバイサ・サイキエフ(ロシア)へ挑戦するチャンスを逃してしまった。しかし3位決定戦で勝ち、ダン・コロフ国際大会に続いて今年2個目の銅メダルを獲得した。

 84kg級の山本悟(岡山県協会)は初戦で敗れ、敗者復活戦にまわれずなかった。

 各選手の成績は下記の通り。(レポート=ビル・メイ、チェコ共和国プラハ在住)


 【55kg級】松永共広(ALSOK綜合警備保障)     優勝=16選手出場

1回戦 ○[2−1(4-2,0-1=2:24,1-0)] Namig Abdullaev(アゼルバイジャン)

  《1P》0−2とリードされた松永だが、足首取りのタックルで1−2へ。ラスト20秒、アブデュラエフが片足タックルに入って場外に出そうとした瞬間、松永が内またで投げて逆転。

  《2P》激しい脚の取り合いになったが、結局クリンチ。 コイン・トスはアブデュラエフ。いいバランスを見せ、松永は粘ったものの、24秒で場外に出された。

  《3P》松永が足首取りのタックルを取り、そのまま守り切った。

  
松永の話「(元オリンピック・チャンピオンに勝って)うれしいこともありますが、勝ってなくちゃならない相手でした。」
----------------------------------------------------------------

2回戦 ○[フォール2P0:53(1-0、F3-0=0:53)] Evgeny Kolbrin(ロシア)

  《1P》松永はがぶりからバックに回り、粘っているコルブリンを場外に出して1点を先制。そのあと、コルブリンの足首取りのタックルに対して安定したポジションを守って、このピリオドを先取した。

  《2P》両足タックルに入って、コルブリンを背中から落して、そのままフォール。
----------------------------------------------------------------

準決勝 ○[2−0(3-0,4-2)] Zalimkhan Kutsaev(ロシア)

  《1P》松永がタックルとアンクルホールドを決め、3−0で先取。

  《2P》相手の片足タックルが決まって0−2とリードを許してしまった松永だが、3度目の片足タックルに入られたとき、両腕を小手に決めてひねり倒し3−2と逆転。ラスト20秒、両足タックルで1点を加えて安全圏へリードを広げた。
----------------------------------------------------------------

決 勝 ○[2−1(0-1,4-0,5-4)] Ghenadi Tulbea(モルドバ)

  《1P》松永は片足タックルできれいに入ったと思ったが、体の柔らかいチュルビアが上になられ、0−1でこのピリオドを落とした。

  《2P》中盤、松永が小内刈りをうまく決めて一気に3−0。アンクルホールドで1点を追加し、ピリオド・スコア1−1へ。

  《3P》松永は最初の30秒で両足タックルを2度取られ、2回目は背中から倒されて、0−4とリードを許した。 しかし自分の両足も取ってローリングへ。2−4とした。バックへ回って3−4。ローリングで逆転し、そのままのスコアで試合が終了。

  
松永の話「(第3ピリオド、リードをされて)何も考えず、心配はしなかった。攻めるしかなかった。 (今年3つ目の優勝は)うれしいです。世界選手権につなぎたい。頑張ります」


 【74kg級】小幡邦彦(ALSOK綜合警備保障)   3位=16選手出場

1回戦 ○[2−0(1-0=2:11,1-0)] Lukasz Wiechna(ポーランド)

  《1P》クリンチのコイン・トスで小幡が勝ち、左足を取って場外に出そうとしたところ、相手が倒れてこのピリオドを先取。

  《2P》小幡が左の片足タックルを取って、守り切った。
----------------------------------------------------------------

2回戦 ○[2−0(1-0,1-0)] Szymon Piatkowski(ポーランド)

  《経過》両ピリオドとも、小幡が左の片足タックルでポイントを取り、相手のタックルをうまく切って勝った。
----------------------------------------------------------------

準決勝 ●[0−2(0-3,0-1)] Oleg Bilotserkivsky(ウクライナ)

  《1P》ラスト5秒に小幡が片足タックルを決められ、持ち上げられて背中から倒された。

  《2P》小幡は自分の攻撃ができず、相手はがぶりからバックへ回って1点。このポイントが決勝点になってしまった。
----------------------------------------------------------------

3位決定戦 ○[2−0(5-0,1-0)] Carlos Dominguez(スペイン)

  《1P》この大会の前の合宿で一緒にトレーニング相手。自信を持っている小幡が1分間にタックル、アンクルホールドなどを決めて5−0。残り1分、しっかり守った。

  《2P》小幡が相手の脇をくぐり、バックから倒して1−0。そのまま守り切った。


 【84kg級】山本悟(岡山県協会)    13位=16選手出場

1回戦 ●[0−2(0-1=2:30,0-1)] Said Abrahimi(イラン)

  《1P》0−0のあと、コイントスに勝ってクリンチを取った山本。相手の足を持ち上げたものの倒すことができず、30秒間が経過。絶好のチャンスを逃した。

  《2P》片足タックルを許して0−1とされた山本は、ラスト15秒、きれいなタックルに入った。しかし相手の強い小手投げででポイントにつなげることができなかった。

  ※相手選手が準決勝で欧州チャンピオンのTaras Danko(ウクライナ)に敗れ、山本は敗者復活戦へまわれず。



《iモード=前ページへ戻る》

《前ページへ戻る》