【特集】無敵のV2! 次の目標は打倒・田中章仁…120kg級・荒木田進謙(青森・光星学院)





 昨年12月の天皇杯全日本選手権で大学生を撃破し、2位となった120kg級の荒木田進謙譲(のぶよし=青森・光星学院)が額面通りの力を発揮し、昨年の大会に続いて2年連続優勝、3月の全国高校選抜大会に続いての春夏制覇を達成。個人戦のMVPに輝いた。

 選抜大会は5試合にフォール勝ちし、トータルの試合タイムは8分48秒(1試合平均1分46秒)。今回も準決勝での相手の負傷棄権を含めて全試合フォール勝ち。総タイムは9分41秒(1試合平均1分56秒)とやや増えたが、前回3失点を喫していたのが、今回は0失点。内容がアップした優勝と考えていいだろう。

 荒木田は「普通にやっての結果です」と王者の貫録の第一声。全試合フォール勝ちで優勝という目標をたてており、それに近い形で優勝できたことで満足な大会だったというが、準決勝で相手をけがさせてしまったことは胸が痛むという。

 レスリングはスポーツであり、「相手をけがさせるようなことがあってはならない」と言う。そして「1ピリオドでしっかりフォールしておけば、けがさせることもなかったんですよね…」。“全試合に開始直後の圧勝”が次の大会での目標か?

 このあとは国体、そして全日本選手権が待っている。昨年の全日本選手権で2位に入っているので、ことし6月の明治乳業杯全日本選抜選手権に出場する資格はあったが、東北大会と日程が重なり、「高校の大会を優先したい」と出場しなかった。ことし12月の全日本選手権へは出場する予定で、昨年フォールで敗れた田中章仁(FEG)へのリベンジを狙う。

 昨年の大会は、経験したことのない2分3ピリオドというルールにも戸惑ったという。「ルールにも慣れてきたし、頑張って勝ちたいです」。この時だけは、やや控えめな言葉となってきっぱりしたリベンジ宣言は出なかったが、「大学へ行ってレスリングを続けることは決めています。パワーをつけて北京オリンピックに出たい」と将来の夢を話した。

(取材・文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)


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