【特集】アジア・カデット選手権3スタイル監督の話


男子フリースタイル 男子グレコローマン 女  子

 日本で初開催となり、初めて全階級にエントリーしたアジア・カデット選手権は、男子フリースタイルが「金1・銀1・銅1」、男子グレコローマンが「銀2・銅2」、女子が「金6・銀3」に終わった。

 4年ぶりに優勝選手を輩出した男子フリースタイルの大沢友博監督(茨城・霞ヶ浦高教)は「寂しい。軽量級で2階級は優勝できたはず。金3つはいけたと思う」と不満いっぱい。前夜のミーティングで「ジュニアは世界大会(7月5〜6日、リトアニア)でいい試合をやってくれた。それに続け。君たちはもう10年選手なんだ。学年は関係ない。パワーは違ってもスピードかある。勝負は粘りだ」と伝え、選手の復帰を促したという。

 しかし、タックルにいって何もしないでつぶされたり、スイッチをやって腕を取られることを繰り返したりとか、もどかしいミスが何度もあったという。「これらをなくせば、もっといい成績を残せた」と振り返った。ただ、この大会に臨むにあたって合宿練習をしたわけではなく、個々の選手への指導や指示にも限界があった。試合を見て各選手の欠点が分かっただけに無念さが残った様子。「来年またカデットの指導をする機会をもらえれば、合宿をさせてもらって、責任をもって指導したい」と言う。

 「こういうところで成績残さないと、ちびっ子選手の目標がなくなる」と、普及のためにもカデット世代で好成績を残すことが必要と訴える。8月には全国中学生チャンピオンの合宿に参加して指導をすることになっており、「外国選手対策を教えたい」と、来年を待たずしてこの世代の強化に意欲十分。来年以降の奮戦が期待される。

 金メダル獲得を逃した男子グレコローマンの嘉戸洋コーチ(日本協会専任コーチ)は「日本はフリースタイルが中心。フリー流のグレコローマンでは限界があった」と振り返った。「その中ではよくやったと思う。前の日に少しテクニックを教えただけで、きちんとできた選手もいた。しっかりとやればできるんです」と、この世代でグレコローマンを教える体制がない状況が残念そう。

 「グレコで世界一を目指すには、この年齢からやっていかなければならないことを感じた」そうで、「オリンピック種目ですし、シニアではあと少しでオリンピックのメダルという位置にいる。日本としてグレコローマンの強化を考えていきたい」と、グレコローマン改革を訴えた。

 女子は、栄和人監督(中京女大職)が試合前に予想した通りの6階級の優勝。6月のアジア・ジュニア選手権(韓国)で8階級中7階級優勝という好成績を残したあとのアジア・カデット選手権だけに、全階級制覇宣言も出るかと思われたが、「オレは大風呂敷は広げない。今の戦力をきちんと分析して、6階級と予想したんだ」と、日本とアジア各国の戦力を冷静に分析していた。

 日本選手は外国選手に腕をしっかり取られたり、がっちり組まれたりすると何もできなくなり、やたらスタミナをロスしてしまう面があったという。「国際試合の経験が少ないから仕方ないけど…。この経験をもとに世界で勝てる勝ち方を覚えてほしい」と、カデット世代にも国際経験を多く積ませたい意向だ。


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