【特集】銀メダル獲得にも反省多い“未完の大器”…フリー76kg級・永田裕城




 アジア・カデット選手権の開会式で選手宣誓の大役を務めたフリー76kg級の永田(えいた)裕城(京都・網野高2年)は、周囲の期待にこたえて決勝進出を果たしたが、アファン・アミリ(イラン)にピリオドスコア0−1、0−1で敗れ、無念の銀メダルに終わった。

 「力が足りなかった」とパワーの差を感じた決勝戦。第1、2ピリオドとも最小ポイント差だったが、「組み手も組ませてもらえず、チャンスもつくれなかった」と振り返り、接戦という感覚は持っていない。決勝以外でも「足が動かなかったり、タックルに入ってもヒザをついてしまって動けなくなったりしたことが多かった」と、反省することの方が多かった銀メダルだった。

 2003年の全国中学生チャンピオンであり、今年3月の全国高校選抜大会をも制した選手。しかし網野高校の吉岡治監督は「競った試合が多い選手。ぎりぎりで勝ってきた試合ばかり。根性だけで勝ってきた選手です」と指摘する。確かにこの大会の1回戦、準決勝はともに2−1での勝利。圧倒的な強さで勝ち上がったわけではない。

 しかし、体力的技術的に未完成ながらもここまで勝ち上がれたのは、すばらしい資質を持っているということ。接戦を勝ち抜ける根性があるのは大きな財産。しっかりと鍛えて世界で通じる体力と技術を身につければ、大きく伸びうる選手といえるだろう。今後の健闘が期待される。

(取材・文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)


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