【特集】日本・ドイツが熱気の合同練習




 7月1日から東京・国立スポーツ科学センターでグレコローマンの全日本チームとドイツ選抜チームが合同合宿を続けているが、7月1日、一般報道陣に練習を公開、熱気ある練習を見せた。

 日本とドイツとは、1989〜90年にソウル五輪金メダリストの宮原厚次さん(現自衛隊監督)がJOCの海外派遣コーチ研修で訪れるなど(当時は西ドイツ)、これまでにもつながりがあったが、2003年にグレコローマン84kg級の松本慎吾選手(一宮運輸)が約2か月間に渡る欧州単独修行を行なった際、受け入れてもらったことで交流が再開。昨年6月、アテネ五輪前を前にして日本代表チームが合宿し、ドイツグランプリ大会に参加するなどして交流が深まり、「日本から行くだけではなく来てもらおう」(伊藤広道・全日本コーチ)と呼びかけたところ、ナショナルチームではないものの、欧州2、3位の選手を擁するチームが応じてくれた。

 伊藤コーチは、渡欧した場合には日本代表選手しか外国選手に接することはできないが、来日してもらうことで日本代表以外の選手も外国選手と練習できるメリットを挙げ、今後も状況が許せば1年おきに行き来し合宿したい意向を示した。海外のチームと交流することで、「ヨーロッパのある選手がけがをしているとか、新しい技を使い始めたとかの情報を手にいれることができる」と、そのメリットを話し、今後も太いパイプをつくっていきたい希望も口にした。

 外国選手の平均的な傾向の“スタミナは劣るが瞬発力にたけている”がドイツ選手にも当てはまる特徴。「一瞬にかける集中力がすごい。一瞬の攻防で力を出し切るところを日本選手は見習ってほしい」と要望した。3日に行なわれた親善試合は、60kg級の笹本睦(ALSOK綜合警備保障)がけがで出場しなかったこともあるが、5勝20敗という成績。「親善試合であっても、ポイントが入ったとか、反則だとか躍起(やっき)になってくる。親善試合だからいいか、というところがない。ここまでも勝負にこだわる姿勢も学ぶべきこと」と話した。

 同行したドイツのヨハン・レバーマン・コーチ(ドイツチームの第2コーチ
=写真右)は「日本のグレコローマンはミヤハラ(宮原厚次)とかいい選手を多く輩出してきた。こうして交流ができることは大変喜ばしいことだ。新しいルールをともに研究し、お互いに北京オリンピックでの勝利を目指して頑張りたい」と合宿の意義を説明。外国選手からみると日本の練習は長いとよく言われるが、「確かに米国やスウェーデンに比べれば練習量は多いかもしれないが、これがおかしいとは思わない。1日の2時間の練習を2回こなすのは普通だ。特に今回のドイツ・チームは若い選手が多く、違ったタイプの選手と多くの練習を積ませたい」と話した。

 なお、ドイツは8月のポーランドでの大会出場の結果を見て、世界選手権の代表を決めるという。合宿は8日まで行なわれる。

(取材・文=樋口郁夫)


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