【特集】「今はレスリング一本です」…フリー120kg級・田中章仁



 フリースタイル120kg級は、腰に「K−1」の文字の入ったシングレットを着た田中章仁(FEG)が2試合に快勝して順当勝ち。3年ぶりの世界選手権出場を決めた。

 全日本2位の荒木田進謙(青森・光星学院高)が棄権したという状況であっても、「勝つために全力を尽くしました」と気を抜くことはなかった。しかし、FEG(K-1の主催会社)所属としての初の大会ということで「緊張しました。プレッシャーというより、恥ずかしさもありました」と苦笑い。

 準決勝(初戦)は2ピリオドとも1−0のスコアで、決勝は第1ピリオドにグラウンドで体を入れ替えられて2点を失い、「反省しなければならないことが多いです」とも話し、周囲から順当勝ちと思われる結果と内容であっても、より完全な強さを求める姿勢は忘れていない。

 全日本選手権からここまでの間に国際大会を4大会(デーブ・シュルツ杯国際大会、ヤシャドク国際大会、ダンコロフ国際大会、アジア選手権)こなしてきたが、そこで得た結論は「パワーが不足している」というもの。「世界選手権までに筋力トレーニングを積み、もっと体力をつけたい。スタミナも必要」と話し、あと3か月間の最重要課題にパワーアップをあげた。

 取り囲んだ報道陣からは、「K−1に出るのか」「K−1の練習もしているの?」という質問が相次いだが、「今はレスリング一本です」ときっぱり。「ことし、メダル獲得は無理にしても、少しでも上位にいきたい」と、世界選手権への思いを口にした。

(写真は決勝戦、赤が田中)

(取材・文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)


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