【特集】「どんな状態であっても勝たねば」…フリー96kg級・小平清貴



 フリースタイル90kg級は第一人者の小平清貴(警視庁)が、決勝で米山祥嗣(日体大)を下して優勝。全日本選手権に続いて今大会でも安定した力を発揮し、3度目となる世界選手権出場を決めた。

 重量級で抜群の安定感を誇る小平が、この日も危なげない試合運びを見せた。準決勝では学生3位の今井普次郎(中大)からフォールを奪い、決勝はローリングで確実にポイントを積み重ねての完勝。万全の調子で臨んだかに思えるが、5月のアジア選手権で腰を痛めてしまったため、実は3日前までほとんど練習ができなかったという。

 一時は欠場も頭をよぎったというが、「どんな状態であっても日本で勝たなくては世界で勝てないし、いつでも万全の状態で試合に出られるとは限らない」と思い直して出場を決意。痛み止めの薬を服用して、強行出場に踏み切った。コンディション不良の状態でしっかり結果を出すあたりはさすが実力者。国内で敵なしをあらためて証明した今、期待は世界といかに戦うかに集まる。

 3度目の世界選手権に向けて小平は「今日の内容で、世界で勝てるのかと言われたら厳しい。まだまだパワーをつけなくてはならない」と課題を口にする一方、「2分という短い時間で1ポイントを争う勝負なら日本人にもチャンスがあると思う」と上位進出に意欲。フリースタイルチームのキャプテンも務めるだけに「チームを勇気付けるためにも、前に出るスタイルを見せたい」とジャパンを引っ張る自覚も十分だった。

(写真は決勝、赤が小平)

(取材・文=渋谷淳、撮影=矢吹建夫)



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