【特集】期待にこたえられなかった悔しさで顔を上げられず…67kg級・坂本襟


 1回戦  ○[フォール1P1:46(3-0)] CHENG PO CHI(台湾)
 準決勝 ○[フォール2P1:46(4-0)] MYAGMARSUREN OCHIRBAT(モンゴル)
 決  勝 ●[0−2(0-1,0-2)] JING RUI XUE(中国)

 初のアジア選手権での銀メダル。それでも67kg級の坂本襟(中京女大ク)は表彰台で1度も顔を上げなかった。「(決勝は)1度も攻めていなかったので…。ここまできたからには、優勝したかったし、周りの人たちの支えもありましたから」。昨秋のワールドカップで戦った相手であり、片足タックルが強烈ということは知っていた。それを注意していてある程度切れただけに、「自分からもっと攻めていれば」という後悔。周囲の期待にこたえられなかった歯がゆさもあり、それがゆえに悔しかったという。

 決勝の第1ピリオドでは、ラスト7秒まで0−0だった。あと7秒クリンチにもつれコイントスで勝って、このピリオドを取っていれば勝負の行方はどう変わったか分からない。しかし、そこで1ポイントを奪われたことで、試合のペースを相手にもっていかれた。昨年のワールドカップのクリスチン・ノードハーゲン(カナダ)戦でも、全日本選手権の斉藤紀江戦でも、終了間際に逆転されており、どうも最後の詰めの甘さがある。

 「クイーンズカップでも、結果的には勝ちましたが、そうでしたね。集中力が続かないのだと思います。最後まで何が起こるか分からないと自分自身に言い聞かせているのですが…。きちんと克服しなければなりません」と、厳しく振り返った。

 それでも、ワールドカップに加えて斉藤紀江選手(ジャパンビバレッジ)の負傷辞退によってアジア選手権出場の機会ももらい、貴重な経験ができた。「マットに上がるまでの気持ちの持ち方もしっかりできた。世界の選手とアジアの選手と戦え、世界選手権に出てくる選手と戦えました。いい経験になりました」と振り返る。世界選手権へ出場するには、まだ斉藤紀江とのプレーオフ(6月23日)に勝たなければならないが、この経験を世界選手権へ生かしたいという気持ちがありあり。プレーオフでひと皮向けた坂本襟が見られるか?

(取材・文=樋口郁夫)




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