【特集】敗因を研究し、世界選手権での飛躍へ…48kg級・坂本真喜子



 1回戦  ○[フォール、2P0:24(TF7-0=1:14,3-0=0:24] KIM YOU JIN(韓国)
 準決勝 ○[2−0(TF7-0=1:10,TF1:07=7-0)] M.BEKZAT(カザフスタン)
 決  勝 ●[1−2(2-1,1-5,0-2)] REN XUECENG(中国)

 日本が全階級で決勝進出を決めた女子初日。先陣を切った48kg級の坂本真喜子(和光ク)が中国に屈した(写真右)。1月のヤリギン国際大会で勝ち、1週間前のワールドカップでも3戦全勝。ここで勝って世界選手権へつなげたい気持ちがあったが、それも振り出しに戻された。

 「悔しい。(中国は)力が強かった」と唇をかみしめた坂本。「でも、世界選手権への出場が決まっているので、負けた原因を探し、しっかり直して世界選手権に行きたい」とも話し、このつまずきを飛躍へつなげたい意気込みを見せた。

 今年に入り、アテネ五輪5位のラリッサ・オーザク(ロシア)や、同3位のパトリシア・ミランダに代わって出てきた米国選手を破っている坂本にとって、中国はアテネ五輪チャンピオンのイリナ・メルニク(ウクライナ)とともにマークする相手。メルニクが当面51kg級へ出る以上、世界一への道で最も警戒すべき相手が中国だった。

 その警戒心が悪かったのか、試合前から「相手の迫力に押されてしまった面がある」と振り返る。迫力とは、観客はさほど多くはないが、地元応援団の熱狂的な応援も含めてのこと。知らず知らずのうちに相手のペースにはまってしまったようだ。

 今回の中国チームはベストメンバーでなく、武漢のある湖北省を中心とした選抜チーム。59kg級と63kg級以外は中国最強の選手ではないという。48kg級だけでも300人もの選手がいるそうで、世界選手権ではもっと強い選手が出てくる可能性がある。また、2008年北京五輪での地元応援団の応援はこんなものではない。

 しかし「負けて分かることもある。この負けをプラスにもっていきたい」という坂本の決意が、今秋の世界選手権、そして北京五輪で生かされることを信じたい。

(取材・文=樋口郁夫)




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