【特集】自衛隊正式入隊を機に打倒伊調千春へ燃える坂本日登美



 4月12日、埼玉県朝霞市の自衛隊体育学校にて、坂本日登美ら42名の新入生を含む全競技151名の 第44期 特別体育課程入校式が行われた。

 真っ白な手袋をはめ、モスグリーンの陸上自衛官の制 服 に身を包んだ坂本は、両親、妹・真喜子(和光クラブ)の見守る中、最前列に並んで式に出席。体育学校長や馳浩衆議院議員(日本協会理事)のあいさつに真剣に耳を傾け、あらためて北京リンピックに向けての決意を固めた。


 坂本日登美選手の話 「やっと入れた、というのが、今の率直な感想です。入校式はとても緊張しましたが、 もう普段の生活には慣れました。最初は、朝6時30分の起床も夜23時の消灯も、全てラッ パの合図で行動しなければならないのには驚きました。学生の頃は寮生活をしていて、それなりに決まりもありましたが、これほど厳しくはなかったですから。でも、生活のリズムがつかめてきたので大丈夫です。

 食事は朝、昼、晩ともすごくおいしいし、おか ず もバリエーション豊富で、栄養もしっかり考えてもらっているのでとてもありがたいです。ドクターがいるので病気やケガをしても心配ありませんし、トレーナー室へいけばい つ でもマッサージが受けられます。トレーニング設備もすごく整っているので、いくらで も 練習できそうです。

 体育学校に入って一番よかったのは、両親から自立できたこと。ずっとスネをかじっ て いて、迷惑ばかりかけていましたから。これでようやく少しは親孝行できそうです。練習は、去年から和光クラブに所属し、体育学校の選手たちと一緒にやらせてもらってきたので全く問題ありません。藤川(健治、女子)監督をはじめ、たくさんのコーチの方々から指導していただいていますし、女子だけでなく、男子の選手も同じ場で練習して い るので、いつも刺激を受けています。

 この春から妹の真喜子も和光クラブに入り、一緒に練習していますが、同じ軽量級の選手として競い合ういいライバルという感じですね。スパーリングのときは、絶対に負 け たくないという気持ちです。真喜子は昨年暮れの全日本選手権、3月のクイーンズカ ッ プと連勝し、世界選手権代表に決まっていますが、私は6月のプレーオフで伊調千春選手を倒さなければならないので、昨年、千春選手と何度も戦ってきた真喜子にもいろいろ教 え てもらおうと思っています。

 千春選手に敗れたクイーンズカップはショックでしたが、考えるいいきっかけになり ま した。藤川監督からも「負けて分かることもある。大切なことは、この負けを次に生かせるかどうかだ」と言われましたが、自分でも本当にそうだと思っています。千春選手はよく自分のことを研究していたのに、自分は全く考えていなかった、それが一番の敗因です。千春選手はオリンピックという大舞台を経験し、しかも銀メダルを獲得して、プレッシャーを乗り越えて自分の力を出し切る方法をつかんでいた。ところが、自分は試合から全く離れていて、プレッシャーを乗り越えることがなかった。そのブランクも大 き いと思います。

 全日本選手権でも、1月のヤリギン国際大会でも、本当は反省すべき点 が いっぱいあったのに、優勝したということで、反省したのはちょっとだけ。“このまま で も行けるな”と過信していました。それで研究したり、考えたりすることが足りないま ま クイーンズカップに臨んで、負けてしまいました。

 これからは、コーチに指導していただくだけでなく、自分でも練習のときからもっと 考 えてやっていきます。ワールドカップには出場できませんが、試合がない分、ライバルたちをしっかり研究できると思います。アジア選手権では必ず優勝して、北京オリ ン ピックへ向けて弾みをつけたいですね。2008年北京オリンピックでは、真喜子と二 人 で姉妹同時金メダル! その大きな目標に向けて、がんばります」  

(取材・撮影=宮崎俊哉)




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