【特集】想像を絶する階級ダウンを乗り越えて優勝…59kg級・正田絢子


(撮影:矢吹建夫)


 激戦が予想された59kg級は、階級を下げて挑んできた99年62kg級世界チャンピオンの正田絢子が制した。00年以降は岩間玲那、伊調馨というライバルに負け続け、久しぶりの金メダル。「2位が多かったので、素直にうれしいです」と喜びを表した。

 準決勝では、キッズ時代からのライバルであり、99年にともに世界一になった山本聖子を破った。「小学校の時は負けることが多かった。だから、今は勝たなければ、という気持ちでした。いい緊張をもって試合ができました」とライバルからの勝利に満足そう。その山本は正田を「59kg級の選手にはいないすごい力だった」と評し、世界へ行っても大きな武器となりそう。自らも「パワーでは負けない」ときっぱり。

 もっとも階級ダウンには想像を超える苦しさがあった。4kg余分に落とすことは予想以上の辛さで「階級ダウンを甘く考えていました」と振り返る。終わってみれば、その苦しさが勝つことへの気持ちを強くし、今後の自信にもなった。

 階級を落とした一番の理由は「世界選手権に出たかったから」。伊調馨との対戦を避けたことになるが、まずは世界チャンピオンを取ることに照準を絞った。「北京五輪に出たい」と口にし、いずれは再度伊調と戦うことになりそうだが、「(伊調に)勝つための自信をつけるためにも、まず世界選手権に出て優勝したい」。倒伊調のためにも階級を落としたのであり、決して伊調との戦いを避けたわけではない。

 そのためには、プレーオフでこの日の決勝の相手の中西はつみを破らなければならない。「63kg級時代にも戦っていた。パワーでは負けないので、試合でも絶対に勝ちたい」と、世界選手権への思いを口にし必勝を期していた。


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