【特集】下馬評はね返す先制攻撃力で世界V3目指す…63kg級・伊調馨


(撮影:矢吹建夫)


 アテネ五輪をも争ったライバル、正田絢子が階級を下げたため、比較的楽に優勝を決めることができた63kg級の伊調馨。「先手先手で攻めることができ、満足しています」と、3試合すべてに攻撃レスリングが爆発した内容に満足そう。

 1ピリオド2分という新ルールの導入が決定的となった時、スロースターターといわれた伊調の戦い方が不安視された。しかし、この日は、30秒フォール勝ち、23秒フォール勝ち、52秒Tフォール+39秒Tフォール、と素晴らしい先制攻撃力を発揮。下馬評をはね返す底力を見せた。ただ、この日の相手はいずれも自らより若いため、この戦い方が世界で通用するかどうかは分からず、世界における新ルール下での戦いという点では、試運転成功という気持ちにはならないようだ。「世界ではいろんなタイプの選手がいるし、考えていかなければならないことがたくさんあると思います」と気をゆるめない。

 ことしの目標は、当然のことながら世界選手権での優勝。「新ルールは、けっこう面白みがあるし、頑張りがいがある。姉妹で世界一に輝きたい」と、2003年に達成した2人そろっての世界一の再現を目指す。自らはすでに世界選手権の日本代表を決めたため、6月までは姉・千春の“援護射撃”に力を入れることになりそう。「セコンドについてくれるだけで安心できる、と言われています。姉に刺激されることも多いですし、頑張ってほしいです」と、姉のサポートは自分のためででもある。

 アテネでは実現できなかった姉妹での金メダル獲得が、今秋には実現できるか。



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