2005年実施の新ルールが確定、全日本合宿で講習会




 本HP既報の通り、国際レスリング連盟(FILA)のレフェリー・セミナーが1月14〜15日にイタリア・ローマで行われ、一部であいまいだった新ルールの細部が決定。日本協会審判委員会から明らかにされ、全日本男子チームの合宿初日の1月23日、レフェリー・セミナーに参加した内藤可三・日本協会審判委員長、斎藤修審判員によって選手と強化委員に対して説明会が行われた。

 最も注目されていたクリンチのやり方については、グレコローマンではコイントスに勝った選手が両手をクラッチしたなら、相手選手が組まなくてもレフェリーはホイッスルを吹くことになった。この体勢からの攻防で先にポイントを取った選手が、そのピリオドの勝者となる。フォールした場合は試合そのものの勝者になるため、ニアフォールの状態が続いたら試合は続行される。

 30秒が経過し、両者ともにポイントが取れない場合は、コイントスで勝った選手に警告(コーション)が与えられ、相手選手が1点を獲得してピリオドの勝者となる。

 クリンチを組む場合、胸と胸を合わせることが基本だが、一方が腰を引くなどしても、コイントスに勝った方がクリンチを組んでしまえば、すぐにホイッスルが吹かれることになるようだ。

 フリースタイルのクリンチも、コイントスで勝った選手がヒザをマットにつけることなく相手の出した足のヒザの裏側をクラッチし、その直後にレフェリーはホイッスルを吹く。12月の全日本選手権の時には、受ける側の手の置く位置が問題になったが、そのことが問題にならないほど、クラッチを組んだ瞬間にホイッスルが吹かれるという。

 攻撃側の選手は、頭を相手の体の内側・外側のどちらに出しても構わないが、正面から相手の足を取ることとし、横から足を取ることはできない。クラッチの種類は、片方の手でもう一方の手首をつかむ方法に限られ、列車の連結器のような組み方は認められない。

       

 同点に終わった場合のピリオドの勝者決定方法については、全日本選手権の時にも、(1)ビッグポイントの数、(2)コーションの少ない選手、(3)最終ポイントを取った選手、とされており、(3)を適用する場合は技によるポイントに限られ、警告(コーション)で得た得点は対象にはならないとされていたが、この部分が全面変更。(1)(2)ともに同じだった場合には、技によるポイントであろうが、警告(コーション)によるポイントであろうが、最終ポイントを取った選手がピリオドの勝者となることになった。

 パッシブは廃止。消極的な選手に対しては、まず「コンタクト」「アクション」などの発声によって戦いをうながし、それでも攻めない場合には警告(コーション)が課せられ、相手に1点が与えられる。警告(コーション)は通算3度受けると失格となり、試合そのものに負けてしまう。

 スタンドレスリングの攻防の場合、場外に1足を踏み出した場合に1失点とされていたが、1足というより、つま先でも出たら1失点となる。

  

 出血を伴わない負傷によって選手が試合を中断した場合は、相手に1点が与えられる。本来、選手にタイムを取る権限はなく、偶然のバッティング(頭突き)やサミング(眼突き)であっても、レフェリーの中断によってのみ試合がストップされる。関節を脱きゅうしたような負傷でも、選手がタイムを取って試合を中断すれば相手に1点が与えられる。「コンタクトレンズを落としたケースも同様」(内藤審判長)とのこと。



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