【特集】銀メダルに終わったものの、「粘り」という収穫あり…男子フリースタイル66kg級・小島豪臣【2006年12月15日】







 1階級アップしてちょうど1年の男子フリースタイル66kg級の小島豪臣(周南システム産業)が銀メダルを獲得。グレコローマンの金メダル獲得には及ばなかったものの、フリースタイル・チームのメンツを守った。

 笹本睦(グレコローマン60kg級=金)、松本慎吾(同84kg級=銅)とともに、今大会に出場した日体大出身選手が全員メダルを獲得したことにもなる。世界選手権とアジア大会に両スタイル合わせて3人の選手しか送れず、巻き返しを期さねばならない同大学にとっても価値あるメダルといえるだろう。

 2回戦で、アテネ五輪4位でありことし4月のアジア選手権王者のレオニード・スピリドノフ(カザフスタン)をラスト2秒に逆転で下す殊勲。準決勝はカデット(16〜17歳)時代に2度も世界一になり、03年世界選手権60kg級4位の実績を持つスシ・クマール(インド)に絶体絶命の状態から逆転フォール勝ち
(右写真)

粘りを発揮した末の銀メダルだが、決勝の白鎮国(韓国)戦の黒星直後は「自分の攻めができずに悔いが残ります。負けてもいいから攻めて、力を出し切りたかった」と無念そう。

 白鎮国の必殺技は独特の角度で入ってくる低い片足タックルで、アテネ五輪で池松和彦も3度かかってしまった技(結果は池松の勝利)。足首を取られたあと、ヘビのようにからみついてくる。片方の足首だけを取られているので、逃げられそうでいて逃げられず、いたずらに時間が経過した挙げ句に1点を失うというパターンが、この試合でも3度あった。

 足首を取られた段階でさっさと1点をやり、ブレークを待ってスタンドでの攻撃時間を増やすべきだったのでは、とも思えるが、簡単にポイントをやってはならないというのは、勝負の世界に生きる選手の当然の習性。踏ん張ることで時間をロスしてしまったこと
(左写真)を責めることはできない。

 「もっと前に出たり、差したり、崩したりして、攻撃する力を身につけたい。守られても攻撃できる力が、世界で勝つためには絶対に必要なことです」。限られた時間で反撃できなかった悔しさが残り、これが今後の課題となるだろう。

 1階級アップした今年は、4月のアジア選手権の1勝2敗(5位)にはじまり、8月のベログラゾフ国際大会で優勝、9月の世界選手権で2回戦敗退の15位、そして今回と山と谷が交互にきた1年だった。

 だが最後にメダルを獲得したことで、気持ちよく2年目を迎えられそう。特に「最後まで粘れたこと。ラスト1秒まで試合をあきらめずに逆転できたこと」という収穫は、大きな武器となることだろう。

 「1月の全日本選手権で勝って、来年も世界へ出たい。北京オリンピックで金メダルを取りたい」。階級アップ1年でこれだけの成績を残した選手ならば、決して不可能ではないだろう。


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