吉田沙保里、伊調姉妹が金メダル…ドーハ・アジア大会第3日【2006年12月12日】







 アジア大会のレスリング競技第3日は12月11日、カタールの首都ドーハのアスパイアー・ホールで女子4階級が行われ、48kg級の伊調千春(ALSOK綜合警備保障)、55kg級の吉田沙保里(ALSOK綜合警備保障)、63kg級の伊調馨(中京女大)の3選手が金メダルを獲得した。しかし前回大会の覇者、72kg級の浜口京子(ジャパンビバレッジ)は、決勝でアテネ五輪金メダリストの王旭(中国)に敗れ、銀メダルに終わった。

 48kg級の伊調千は、1回戦で台湾選手、2回戦でカザフスタン選手を破った後、準決勝で今年のアジア選手権3位の黎笑媚(中国)を2−1で撃破。決勝は今年のアジア選手権3位の金亨柱(韓国)を2−0で下した。

 55kg級の吉田は、2回戦(初戦)でインド選手を下し、準決勝で世界選手権59kg級2位の蘇麗慧(中国)を破った。決勝では、国籍を移したアテネ五輪ロシア代表のオルガ・スミルノバ(カザフスタン)を2−0で快勝。前回の2002年釜山大会に続いての連続優勝を果たすとともに、国際大会の連勝記録を「104連勝」へ。国内外の連勝記録を「100連勝」の大台へ伸ばした。

 63kg級の伊調馨は2回戦(初戦)でベトナム選手を2−0で、準決勝で前回の釜山大会決勝で負けた許燕海(中国)を2ピリオドともクリンチにもつけるきわどい試合ながら勝った。決勝は05年アジア選手権決勝でも闘っているギーティカ・ジャカール(インド)をフォールで破り、銀メダルに終わった前回大会の屈辱を晴らした。

 72kg級の浜口京子(ジャパンビバレッジ)は2回戦(初戦)で尹昭英(韓国)に、準決勝でオチルバト・ブルマー(モンゴル)にそれぞれフォール勝ち。決勝はアテネ五輪金メダリストの王旭(中国)と約2年4ヶ月ぶりの再戦。第1ピリオドをコイントスに末に落とし、最後は0−2で敗れて金メダルに手が届かなかった。

 各階級の成績は下記の通り


 ◎女 子

 
【48kg級】伊調千春(ALSOK綜合警備保障)    優勝=13選手出場

1回戦 ○[2−0(1-0,TF8-0=1:02)] WU, Li Chuan(台湾)

 《経過》第1ピリオドは20秒で伊調が場外へ押し出して1点を獲得。このポイントを守った。第2ピリオドは落としてバックを取り、グラウンド攻撃で4点を追加。中盤に3点タックルを決めてテクニカルフォール。

2回戦 ○[2−0(1-0,1-0)] KARPENKO, Darya(カザフスタン)

 《経過》なかなかポイントの取れない試合だったが、伊調が第1、2ピリオドとも場外へ押し出して1点を挙げ、このポイントを守った。

準決勝 ○[2−1(0-1=2:10,1-0,3-1)] Li, Xiaomei(黎笑媚=中国)

 《経過》0−0で終わった第1ピリオド、コイントスで負けた伊調は、うまくこらえて反撃し、レフェリーは伊調の1点を挙げたが、ビデオチェックの結果、相手のテークダウンが先と判断されてこのピリオドを落とした。第2ピリオドも中盤、場外際に追い込まれてピンチだったが、回りこんで反撃に転じて自らが1点を獲得。1−0で勝ってタイスコアへ。

 第3ピリオドは開始早々に片足タックルで場外に出されて0−1とされたが、すぐに反撃し、タックルとローリングで3−1へ。終始先手を取られながらもしっかりと勝った。

【1回戦第2P】勝負を決めた3点タックル。 【2回戦第1P】場外際の攻防で勝って1点を先制。 【準決勝第2P】場外際に押し込まれたが、ここから逆転。 【準決勝第2P】最後はレッグホールドで2点を追加。

決 勝 ○[2−0(1-0,3-0)] KIM hyung Joo(金亨柱=韓国)

 《経過》伊調が34秒に回り込んで1点を取り、第1ピリオドを1−0で取った。第2ピリオドもタックルで場外に押し出すなどして3−0として勝った。

【決勝第1P】栄監督に見守られてマットに向かう伊調。 【決勝第1P】34秒、回り込んで1点を先制。 【決勝第1P】追加ポイントを狙ったが1−0で終了。 【決勝第2P】片足タックルから場外へ押し出す。


【決勝第2P】再び場外へ押し出し2−0。最後は3−0へ。 【決勝第2P】試合終了。当然といった顔で応援席に一礼。 【表彰式】初のアジア大会出場で金メダル獲得。 【表彰式】日本選手団の市原則之総監督が祝福。

 【55kg級】吉田沙保里(ALSOK綜合警備保障)    優勝=12選手出場

1回戦  BYE

2回戦 ○[2−0(1-0,5-0)] TOMAR, Alka(インド)


 《経過》お互いに攻め込めない第1ピリオドだったが、1分20秒、吉田が相手の両ふくらはぎに手を引っ掛ける低いタックルで1点を獲得。第2ピリオドも中盤、タックルとニアフォールで4−0とし、終盤にも1点を加えた。

準決勝 ○[2−0(6-1,2-0)] SU, Lihui(蘇麗慧=中国)

 《経過》タックルに入った吉田だが、つぶされて1点を失うスタート。すぐにタックルで取り返して1−1。終了間際にタックル返しで3点を挙げ、そのまま押さえ込み。レフェリーはフォールとしたが、タイムの方が先で6−1。第1ピリオドは1分20秒にタックルで1点を取り、終盤にも1点を加えた。

【2回戦第1P】ひざ下に手をかける低いタックル決まる。 【準決勝第1P】吉田のタックルがつぶされた。これで闘志全開! 【準決勝第1P】相手のタックルへ返して“幻のフォール”へ。 【準決勝第2P】タックルを確実に決めて勝利を引き寄せた。

決 勝 ○[2−0(3-0,TF6-0=1:58)] SMIRNOVA, Olga(カザフスタン)

 《経過》第1ピリオド38秒、タックルから場外へ出して1点を先制した吉田は、崩して1点を加え、相手のタックルを切って3−0でこのピリオドを取った。第2ピリオドも相手の攻撃をカウンターで返すなどして3−0とし、最後に3点タックルを決めてテクニカルフォール。

【決勝第1P】序盤に片足タックルが決まって1点先制。 【決勝第1P】終盤、相手のタックルを切って1点を追加。 【決勝第2P】相手のタックルをがぶって場外へ押し出す。 【決勝第2P】エンジン全開で吉田の攻撃が続いた。


【決勝第2P】最後は片足タックルから持ち上げて3点。 【決勝第2P】マットを降りると応援席にあいさつ。 【決勝第2P】国内外100連勝を達成し、笑顔の師弟。 【表彰式】今年も無敗の白星街道を突っ走った。

 【63kg級】伊調馨(中京女大)     優勝=10選手出場

1回戦  BYE

2回戦 ○[2−0(TF6-0=0:48,TF6-0=1:48)] NGUYEN, Thi HAI Yen(ベトナム)


 《経過》回り込んで1点を取った伊調は、ローリングなどでポイントを加え、1分もかからずに6−0。第2ピリオドもバックを取って1点を取ったあと、またさきなどで攻めて6点差をつけた。

準決勝 ○[2−0(1-0=2:01,1-0=2:00)] XU, Haiyan(許海燕=中国)

 《経過》第1、2ピリオドとも0−0で終了。コイントスはともに伊調馨が勝った。第1ピリオドはしっかりとテークダウンを決めて取り、第2ピリオドは許海燕がスタート前にかがみ、1度の注意のあとにも正しいクリンチを取らなかったため警告が課せられ、スタートのホイッスルを聞くことなく伊調の手が上がった。

【2回戦第1P】グラウンド攻撃でTフォールへ。 【2回戦第2P】必殺のまたさきがさく裂。2−0で快勝。 【準決勝第1P】クリンチからのテークダウン成功。 【準決勝第2P】きちんと受けない許海燕に警告が課せられた。

決 勝 ○[フォール、2P0:28(3-0,F6-0)] JAKHAR, Geetika(インド)

 《経過》崩してバックを取った伊調は、片足タックルなどで3−0として第1ピリオドを先取。第2ピリオド、タックルから脚をすくって倒し、横四方固め、縦四方固めと移行してフォールを奪った。

【決勝第1P】序盤に1点を先制した伊調。またさきは不発。 【決勝第1P】さらに片足タックルで追加ポイント。 【決勝第2P】タックルをしのがれるや、左脚をすくって背中からマットへ落とした。


【決勝第2P】横から攻めてフォールの体勢へ。 【決勝第2P】最後は前方からがっちり押さえ込んだ。 【決勝第2P】圧勝で4年前の屈辱を晴らした伊調馨。。 【表彰式】今年1年も無敗で突き進んだ。

 【72kg級】浜口京子(ジャパンビバレッジ)     2位=9選手出場

1回戦  BYE

2回戦 ○[フォール、1P1:23(F3-0)] YUN, So Young(尹昭英=韓国)


 《経過》一進一退のあと、引き落とした浜口が一気にフォールを決めた。

準決勝 ○[フォール、2P1:14(2-0,F4-0)] OCHIRBAT, Burmaa(モンゴル)

 《経過》浜口は第1ピリオド、中盤にタックルで、終盤に引き落として1点ずつを獲得。第2ピリオドはタックルで1点を取ったあと、2度目のタックルでそのままフォールへ。

【2回戦第1P】相手を前に崩した浜口は、一気にフォールの体勢へ持ち越し、しっかり押さえ込んだ。 【準決勝第1P】中盤、タックルを決めた浜口。 【準決勝第2P】片足タックルから押さえ込みフォール勝ち。

決 勝 ●[0−2(0-1=1:01,1-3)] WANG, Xu(王旭=中国)

 《経過》第1ピリオドは両者とも見合ってしまい、コンタクトらしいコンタクトもなく0−0。コイントスで負けた浜口はテークダウンを決められた。第2ピリオド、タックルへ行った浜口だが、王旭がタックル返し。すぐに体勢を入れ替えてバックを取った浜口は、アンクルホールドを仕掛けたが、場外で無得点。終盤、逆転を狙って相手タックルに対して外無双気味の技を仕掛けたが、決まらずに1失点。そのまま終了のホイッスルを聞いた。

【決勝第1P】お互いに警戒し合い、0−0で終了。 【決勝第2P】浜口が片足タックル。しかし返された。 【決勝第2P】すぐに相手の股下から抜け出し、バックを奪って1点。続いてのアンクルホールドは場外で無得点。


【決勝第2P】逆転を狙ったが、逆に1失点。 【表彰式】無念の銀メダル。しかし明るく振る舞った。 【試合後】父の顔を見ると、自ら練習を開始。 【試合後】「どん底から這い上がれ」と励ました。



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